クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ムーティ賛歌

 ちょうど来日中の皇帝ムーティの素晴らしさを語ります。

 まず何がいいかっていうと、この指揮者かっこいい。そして若い。67歳に見える?

 ムーティの指揮を生で見たことある人なら思い浮かべられると思うが、演奏一番最後のジャーン!で決める、指揮棒を持つ右腕をビューンと首に回しながら客席側にターンする例のお得意の決めポーズ、まずこれにやられてしまう(笑)。
 それから曲の佳境、頂点で飛び出す特大ジャンプ!
 ヴェルディ‘レクイエム’第2曲Dies irae~怒りの日のところでバスドラムの強打4発に合わせて放った左フック4連発には完全にノックアウトされた。(一緒に公演に行った私の友人は、ムーティの話をすると、以来毎回必ずこの左フック4連発ポーズを見せて笑わせてくれる。)

 クラシックファンでなかった私を、最初にムーティの公演に引き連れて行ってくれた親のおかげで、なんとなく指揮者=ムーティに刷り上がったのであったが、決定的に虜になったのは1985年フィラデルフィア管弦楽団ムーティ3回目の来日で取り上げたマーラー交響曲第1番、そしてそのアンコールで演奏された「シチリア島の夕べの祈り」序曲だった。その疾風のごとく、怒濤のごとくホールいっぱいに響き渡らせたサウンドに衝撃を受けた。良かったとか、感動したとかを超え、あまりの凄さに拍手さえ出来ずに硬直してしまったのである。口は完全にぽっかーんと空いた状態。しばらく立てなかった。私の‘実質上の’ファン歴のスタートはここから始まったのである。

 さて、ムーティについては、多くの音楽ファンのみならず、名のある評論家連中さえ、したり顔で言う。「イタリアらしい明るいカンタービレ」、「熱い血がたぎる情熱感あふれた演奏」・・・。
 なんだかなー。
 確かにそう言われればそうかもしれないが、いかにも表面的でステレオタイプだなと思う。

 ムーティの演奏を聴くときは、事前のすり込み知識なんかいらない。ただ体全体をアンテナにする。そこを通って直接心に届く音を感じてみる。すると、ね。判る!作曲家の渾身の思いが込められた旋律が。作品に潜む核心と真実が。念入りにスコアを読み、解析した回答がそこに必ずある。ムーティの音楽の素晴らしいところは正にここだと思う。(相当の持ち上げが入っています。お許しくだされ。)

 明後日のウィーンフィル第2弾が楽しみで待ちきれない。