クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2024/4/26 読響

2024年4月26日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  セバスティアン・ヴァイグレ
ロザンネ・フィリッペンス(ヴァイオリン)
ブラームス  大学祝典序曲
コルンゴルト  ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン  交響曲第4番

 

残念ながらパスしてしまったけど、東京・春・音楽祭でのヴァイグレ指揮&読響の「エレクトラ」は、かなり良かったらしいじゃないですか。SNSとかで「名演!」の言葉が、いっぱい飛び交っていた。

まあそうだと思いますよ。私はそうなることは最初から分かってましたよ。
なぜなら、「エレクトラ」だから。
必然的に名演になっちゃう、そういう作品なんです。
みんな「凄い演奏だった」と思い込んでいるけど、本当は「凄い曲」。ぜひ作品に、そして作曲家に、思いを馳せてほしい。

・・と、シュトラウス・マニアの私は思うのであった。


さて、本公演の感想も「とても良かった」のであるが、その論法を適用するのなら、作品、そして作曲家が偉大である、ということか。

でもまあ、作品という素材の良さを魅力的に引き出すのも、指揮者とオケの仕事なのではあるが・・。


コルンゴルトのコンチェルトを聴けて、嬉しかった。
なんという甘美なメロディーであろうか。さすがは「映画音楽風」「ハリウッド協奏曲」などと言われるだけはある。
いいじゃないか、映画音楽。何が悪い? 美しいメロディーは100万ドルの夜景みたいなもの。それだけで心が動かされる。そういうメロディーを創り出すコルンゴルトは偉大なのである。

演奏したフィリッペンスは、甘美なメロディーを抒情的に包み込もうと、身体をくねくねと動かし、踊るように弾く。演奏を楽しんでいる感じがして、好感が持てる。
実は高度なテクニックの持ち主で、音色そのものは鋭く、燃焼度が高い。


ブラームスベートーヴェンは、ヴァイグレと読響の良好関係を示すかのような、安定感抜群の演奏。細かいことは言わなくても、お互いの手の内が分かっていて、自然に方向性が定まっていくみたいな感じ。常任指揮者として6シーズン目、充実の収穫期を迎えているのだろう。

世界の空港ランキング

ネットでウェブサイトを見ていたら、世界の空港ランキングなるものを見つけた。
イギリスの航空サービスリサーチ会社「スカイトラックス」が発表した「World’s Top 100 Airports 2024」。同社が実施した顧客満足度調査に基づく評価とのこと。

空港は私も利用する機会が多いので、ランキングを興味深く眺めた。「なるほど」と思うものもあれば、「まさか」「意外」、あるいは「ありえねぇー」みたいなのもあって、面白い。
調査項目や基準が示されていなかったので、何を持ってそのような順位になったのかは不明。だから、あくまでも一つの判断結果と見るべきだろう。

トップ20は以下のとおり。

第1位:ハマド国際空港(カタール
第2位:シンガポール・チャンギ国際空港シンガポール
第3位:仁川国際空港(韓国)
第4位:東京国際空港(日本)
第5位:成田国際空港(日本)
第6位:パリ・シャルル・ド・ゴール空港(フランス)
第7位:ドバイ国際空港アラブ首長国連邦
第8位:ミュンヘン空港(ドイツ)
第9位:チューリッヒ空港(スイス)
第10位:イスタンブール空港(トルコ)
第11位:香港国際空港(香港)
第12位:フィウミチーノ空港(イタリア)
第13位:ウィーン国際空港(オーストリア
第14位:ヘルシンキ・ヴァンター国際空港(フィンランド
第15位:アドルフォ・スアレスマドリード・バラハス空港(スペイン)
第16位:中部国際空港 セントレア(日本)
第17位:バンクーバー国際空港(カナダ)
第18位:関西国際空港(日本)
第19位:メルボルン空港(オーストラリア)
第20位:コペンハーゲン空港(デンマーク

第1位のハマド空港は、利用したことがないので何ともコメントできないが、でもまあ、「さもありなん」という感じ。中東らしく、いかにも「お金をかけて新しく綺麗に整備しました」ということでしょ?

羽田と成田が上位に入っているだけでなく、名古屋と関空もトップ20入りというのは、まあ納得。清潔で、空港職員の応対も親切丁寧。
日本の航空会社は定時運行率が高いことで世界的に評価が高いが、空港そのものの機能性や、そこで働く職員の勤勉さが貢献している部分は大きいのではないか。
ただし、外国人にとって優しいかどうかは分からない。空港から一歩外に出れば、英語がほとんど通じない国である。
ま、空港の評価であって、一歩外のことは関係ないか・・。

パリ・シャルル・ド・ゴール空港が第6位というのは、どうなのかなー。
この空港デカすぎる。慣れていない人は、乗り換え、ターミナルの移動が大変だと思う。パリ市内へのアクセスも、一般的には悪くないかもしれないけど、個人的に2回トラブルに遭っているので、良い評価は与えられない。遅延もストライキも多発。

ミュンヘン空港も市中心部まで遠く、8位という評価ほどでもないと感じる。
空港敷地内にビアホールがあるからか??(笑)


私自身の「良い空港かどうか」の判断基準は、第一に「市内へのアクセスの良さ」、第二に「入国審査のスムーズさ」、第三に「乗換えが容易なコンパクトさ」。
必然的に大都市にあるデカい空港はダメということになる。利用回数がダントツに多いフランクフルト国際空港は、第二の基準で問題外。上記のランキングでも上位30から外れていることに納得。

第26位に福岡空港がランクインしているが、市内のアクセスの良さがポイントを大きく上げているのではないか。

こうした市内アクセスにおいて、私が知っているその他の空港では、イタリアのピサ・ガリレオ・ガリレイ空港が、市中心部から非常に近くて、びっくりした。わずか4キロ。「歩いていけるんじゃね?」みたいな。


最後に、第2位にランクされたシンガポールチャンギ空港
昨年に利用したけど、空港そのものを観光ポイントのように整えた未来型複合施設「ジュエル・チャンギ・エアポート」がすごかった。
ドームになっていて、庭園があり、屋内世界最大規模を誇る人工滝がある。もちろん、ショッピングやレストランも充実。これは必見。第二位評価は大いに妥当。

 

2024/4/17 東京・春・音楽祭 アイーダ

2024年4月17日   東京・春・音楽祭   東京文化会館
ヴェルディ  アイーダ(コンサート形式上演)
指揮  リッカルド・ムーティ
管弦楽  東京春祭オーケストラ
合唱  東京オペラシンガーズ
マリア・ホセ・シーリ(アイーダ)、ルチアーノ・ガンチ(ラダメス)、セルバン・ヴァシレ(アモナスロ)、ユリア・マトーチュキナ(アムネリス)、ヴィットリオ・デ・カンポ(ランフィス)、片山将司(エジプト王)    他

 

オペラ作品の上演の成否を握っているのは、まあ一般論としては「指揮者」ということなのだろう。
だけど、実際的には、かなりの比重で「歌手」が担っているのが、結構な現実ではなかろうか。

ここ東京・春・音楽祭では、「演奏上の鍵を握っているのが、明らかに絶対的に指揮者であり、その次にオーケストラ」という、世界でも稀有の実例を見つけることが出来る。
これほどまでに徹底された顕著な特徴は、世界を見渡しても、どこにも見当たらない。ウィーンにも、ミラノにも、だ。


この特徴を実現可能にし、そこに特別な価値を作り出すことが出来る世界でただ一人の男、リッカルド・ムーティ

ムーティがこの客演に情熱を注いでいることは、火を見るよりも明らか。
エストロは、使命感に燃えている。自らの経験、自らが学んだイタリア・オペラの伝統を後進に伝授するために、全力を尽くしている。
ヴェルディには歌があり、起伏に満ちたドラマがあり、劇的な緊迫感があり、燦然たる輝きと高い格調性がある。そのことを一途に説き、音楽に落とし込んでいる。


そうした巨匠の意図を限りなく忠実に実行しようと、懸命に演奏するオーケストラが存在する。

東京春祭オーケストラ。
若手を中心として選抜されているが、日本のトップクラスと言ってもいいくらいの精鋭集団。
その奏者たちが、ムーティのタクトの下に集い、ムーティの音楽に集中し、最大の献身性をもって演奏する。

その意味において、東京春祭オケは、どの常設プロオーケストラにも、決して勝るとも劣らない。
ムーティとのコンビによるヴェルディ演奏に限定するのなら、決してオーバーではなく、もしかしたら世界のトップレベルかもしれない。


ソリスト歌手については、個人によってレベルの差があり、また、調子の波や演奏上の細かい傷もあり、全体として一定の水準をキープしつつも、極上だったとは言い難い。

だが、ここまで述べてきたとおり、本公演の演奏は、指揮者とオーケストラ(あとは合唱)が示したイタリア・オペラの究極像であった。歌手の出来次第に決して左右されない頑丈な軸があったのだ。


かのごとく、ヴェルディの真髄を体験することが出来る東京・春・音楽祭。
そして、日が変わった翌日、今度は同じ会場で、R・シュトラウスの「エレクトラ」が鳴り響く。

私は、さすがにバーデン・バーデンで聴いちゃったこともあり、これをパスするが、日本を代表し、世界に誇る音楽祭へと発展した「東京・春・音楽祭」は、いよいよクライマックスを迎える。

心より、おめでとうございます、20周年。

2024/4/15 オッカ・フォン・デア・ダメラウ 歌曲リサイタル(東京・春・音楽祭)

2024年4月15日  O・v・d・ダメラウ & S・レノー リサイタル(東京・春・音楽祭)  東京文化会館 小ホール
《歌曲シリーズ vol.40》
オッカ・フォン・デア・ダメラウ(メゾ・ソプラノ)、ソフィー・レノー(ピアノ)
ブラームス  歌曲集より
ベルク  4つの歌  他
マーラー  リュッケルトの詩による5つの歌曲   他
ワーグナー  ヴェーゼンドンク歌曲集   他

 

国際的に大活躍しているスター歌手、というほどではないけど、ドイツ物オペラ作品の上演を支える重要な脇役のメゾで(例えば、ブランゲーネとか、エルダとか)、歌劇場に欠かせない存在・・・

オッカ・フォン・デア・ダメラウは、きっとそういう歌手だ。
私は、これまでにミュンヘン、フランクフルト、ドレスデンで、彼女が出演するオペラを観ている。(日本にもバイエルン州立歌劇場の来日公演で来たことがある。)


「歌唱の話と全然関係なくてすみません」なんだけど、このお方、もう、いかにもドイツのオバちゃんというお顔と体型をしていて、あちらに行くと、ホントいるんですよ、こういう人(笑)。
オバちゃんという言い方が失礼なら、女将さんって感じかな。
日本にもいますよね、そういう雰囲気のお母さん。

でも、ドレスを着てステージに立つと、大きな身体も含めて、神々しい存在感が際立つ歌手に変貌する。まさに芸術家だ!


声のカテゴリーは、一応メゾ・ソプラノということになっているが、深いアルト系ではなく、どちらかというとソプラノの方に寄っている。豊かな声と、さすがドイツ人、ドイツ語歌詞の歌い回し方がエレガント。

プログラムの構成上、前半最後の「リュッケルト」、後半最後の「ヴェーゼンドンク」がメインになっているが、個人的に、ベルクとマーラーの小品歌曲が、何気に良かった。また、アンコールで演奏したマーラーの小品2曲も、とてもチャーミングだった。

2024/4/13 東京・春・音楽祭(ブラームスの室内楽)

2024年4月13日   東京・春・音楽祭   東京文化会館 小ホール
ブラームス室内楽Ⅺ》
周防亮介(ヴァイオリン)、小川響子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、向山佳絵子(チェロ)
ブラームス   弦楽四重奏曲第1番、第2番、第3番

 

2014年から本音楽祭でシリーズ化されている「ブラームス室内楽」。今回が11回目で、発表によると、これが最後になるという。
第1回からずっと出続けているのが、ヴィオラの川本さん。つまり、彼女が企画の要であり、なおかつシリーズをここまで継続させた功労者ということだ。
チェロの向山さんも出演回数が多く、あとは作品に応じて、出演者が臨機応変に揃えられてきた。今回のこの4人による演奏は初めて。

言うまでもなく、日本を代表する弦楽器奏者の方々である。
メンバーを固めて活動しているクァルテットの演奏を聴くのも良いが、こうして普段一緒に活動していないトップ奏者たちが一同に会し、その結実を聴くというのも、これまた良い。
ちなみに、ブラームス弦楽四重奏曲の3曲すべてをコンサートで聴くのは、私自身初めて。なので、楽しみにしていた公演だ。

ところで、ヴァイオリンの周防さんと小川さんは、甲乙付けがたい有能な奏者。いったいどっちが1stを弾くのだろうか、というのが実は個人的に率直な注目点だった。
ソロ活動の経歴で見るのなら周防さんに一日の長があるかもしれないが、一方で小川さんはあの「葵トリオ」のメンバーであり、室内楽の功績で彼女の方に分があろう。

結論はというと、ちゃんと分担した。第1番と第3番が周防さん、第2番が小川さん。なんとなく予想どおり(笑)。


演奏はもちろん言うことなし。「これぞブラームス」という室内楽を堪能。
単なる「4人で合わせました」ではなく、それぞれのパートからブラームスをとことん追求していく姿勢が見受けられ、「深い」と思った。
ヴァイオリンの1stと2ndを周防さんと小川さんでチェンジするだけで、様相がガラッと変わるというのも、面白かった。

演奏側からしてみると、技術的に作品を手中に収めたとしても、しっかりとブラームスの真髄を聴かせるという意味で3曲を一気に披露するのは、かなりハードだったのではないかと慮る。

また、通常どうしても旋律を担い、響きやすい高音パートを受け持つヴァイオリンの音が耳に入って来やすい性質があるが、チェロもヴィオラも均等に音が重なっていることにも感心した。
さすが川本さんと向山さん、ベテランの貫禄・・・

おっと、これって女性に対し表で言ってはいけない発言??(笑)

2024/4/13 東京・春・音楽祭(合唱の芸術シリーズ)

2024年4月13日  東京・春・音楽祭   東京文化会館
《合唱の芸術シリーズ Vol.11》
指揮  ローター・ケーニヒス
管弦楽  東京都交響楽団
合唱  東京オペラシンガーズ
ハンナ・エリザベス・ミュラー(ソプラノ)、オッカ・フォン・デア・ダメラウ(メゾ・ソプラノ)、ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(テノール)、アイン・アンガー(バス)
ワーグナー  ジークフリート牧歌
ブルックナー  ミサ曲第3番

 

以下の感想記は、ブルックナーに限ってということで。(ワーグナーについては省略)

今年は生誕200年記念ということで、各オーケストラが競うかのように彼の交響曲をシーズン中のプログラムに組み込んでいるが、こういう作品をピックアップしてくれるのが嬉しい。こういう作品こそ、記念年に相応しい。
なぜなら、ブルックナーという作曲家の理解を深めようとする時、敬虔なキリスト教信者で、教会のオルガニストだった彼の宗教曲は、重要な位置付けとされるからだ。

さすが、目の付け所が違うね、東京・春・音楽祭。

そして、この演奏のために海外から一流ソリスト歌手を揃えてきたというのも、ポイント。
ハンナ・エリザベス・ミュラーとアイン・アンガーの二人は、おそらくこの1公演だけのための来日だと思う。なんとまあ、贅沢。

あ、指揮者のケーニヒスもそうだね。お疲れ様です。

そのケーニヒスの音楽。
タクトを見、音楽を聴いて、「あ、熟知しているな」と感じた。

この「熟知」には2つの意味があって、一つは作品そのものをきちんと理解しているということ。
もう一つは、こうした合唱付き宗教曲の構築の仕方、響かせ方を把握しているということ。

「そんなの指揮者なんだから当然じゃないか」という指摘もあるかもしれないが、「いや、違う」と思う。指揮者にだって、得手不得手がある。
なんというか、手慣れているというか、染み付いているというか・・。
頻繁に演奏されない作品のはずなのに。

タクトそのものはオーソドックスで派手さはないが、手の動きは単なるテンポの刻みや運びでなく、導入、造形、表現に集約されている。
音楽の筋が通っていて、誇張、誇大化せず、透明な響きを基本にした、清らかでまっすぐな演奏だ。
合唱曲の扱い方が上手いのは、ウェルシュ・ナショナル・オペラの音楽監督を務めた経験が物を言っているのかもしれない。


本公演のサブ・タイトルが「合唱の芸術シリーズ」というとおり、演奏上、重要な役割を占めていたのが東京オペラシンガーズの合唱だったが、これがまた素晴らしかった。実に感動的であった。
響きが徹頭徹尾美しい。発声もクリアかつ滑らかで、迫力も十分。日本人による演奏団体がこれを成し遂げたのである。ドイツ人指揮者も十分に満足したのではないだろうか。
(我々からしてみれば、実力に定評がある東京オペラシンガーズの成果に、何の不思議もない。)


一方で、ソリストについては、大したコメントはできない。
そもそも、作品の中にアリアのような聴かせどころがほとんど無く、個々としてはあまり目立たない。彼らは、ひたすらミサ曲の演奏を構成し、支える一パートでしかないのだ。
そうした作品に対する献身性ということなら、十分に役目を務めたと言えるかもしれない。


さて・・・。
本日はダブルヘッダー。しばしの休憩の後、文化会館小ホールに移動して、同じく音楽祭の室内楽を鑑賞する。

2024/4/11 D・トリフォノフ ピアノ・リサイタル

2024年4月11日   ダニール・トリフォノフ ピアノ・リサイタル  サントリーホール
ラモー  新クラヴサン組曲集より
モーツァルト  ピアノ・ソナタ第12番
メンデルスゾーン  厳格なる変奏曲
ベートーヴェン  ピアノ・ソナタ第29番 ハンマークラヴィーア

 

「完璧」という言葉が相応しいコンサートだったと思う。

まず、選定されたプログラムがいい。
ラモー、モーツァルトメンデルスゾーン、そしてベートーヴェン
全体としてのまとまりがあり、時代の流れのようなストーリー性があり、「ハンマークラヴィーア」でクライマックスに到達する構築性がある。この配置は、単なるセンスの問題だけではなく、劇的効果も視野に入れた周到な推考の末の結論と思われる。

肝心の演奏も完璧である。
作品ごと、あるいは楽章ごとにタッチを変えて異なる音色を創作し、ダイナミックさと併せて強い必然性と説得力が伴っているが、これらについても上記と同様、哲学的な思索の成果だ。

ついでに、デビュー時の若造イケメン貴公子からイメチェン脱却し、髭を生やして本格実力派の雰囲気を漂わせる自己プロデュース力も、これまた完璧。


以上、「完璧」という言葉をつらつらと並べたが、ならばこれが彼の頂点、完成形かというと、まだまだ深化しそうな気配も十分。今後も実に楽しみな逸材だ。


しかし、それにしても、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」、ホントとてつもない作品だなあ。
久しぶりに生で聴いたが、宇宙を織り成すかのような、まさにピアノの金字塔と言える傑作だ。

この曲の生鑑賞体験で、超絶名演として忘れられないのが、ポリーニの演奏。
改めて、故人を偲びたい。