クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2024/6/15 N響 C定期

2024年6月15日   NHK交響楽団 C定期演奏会   NHKホール
指揮  沖澤のどか
合唱  東京混声合唱
デニス・コジュヒン(ピアノ)
イベール  寄港地
ラヴェル  左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー  夜想曲

 

沖澤さんの指揮によるコンサートを聴くのは、これで4回目。最初は2021年7月の日本フィルだったが、わずか3年しか経っていないのに、印象は随分と変わっている。
最初の印象は、オーケストラの演奏をきちんと合わせるために、すごく丁寧に分かりやすく振っているな、というものだった。
きちんと合わせる、というより、「合わせてもらう」みたいな一歩引いた様子が、なんとなく感じられた。

そういう意味では、今回のN響での指揮は、かなり見違えている。
丁寧なタクトは変わらないが、「こうしてほしい」「こういう音が欲しい」という意思が明確に押し出されている。実に堂々としたもので、清々しい。

おそらく、自信が付いてきたのだと思うし、オーケストラとのコミュニケーションの仕方を自分なりに掴んだのだと思う。


N響の演奏が、また見事。ホントお上手~。
繊細、精緻というより、ゴージャス、華麗。
これって沖澤さんの音なのか、N響の音なのか・・・
ちょっと分からないが、何となくN響のような。沖澤さんのタクトに対するN響からの回答かなと思った。


コンチェルトを弾いたコジュヒン、初めて聴いたと思ったが、調べてみたら、2017年9月に同じくN響との共演でラフマニノフの協奏曲第4番を弾いたのを聴いていた。
全然覚えてねぇー。
今回のラヴェルは良かった。これなら次回聴いた時、「あの時、ラヴェルを弾いたよな」と、しっかり思い出すことが出来るだろう。

スポーツネタ  テニス、それからユーロ

5月にパリで全仏オープンの1回戦を観たことで、帰国後も、その後のトーナメントの行方について注視しながらテレビ観戦していた。
私が現地で観たヤニック・シナー選手は、残念ながら決勝に進出出来なかったが、最新の世界ランキングで1位となった。イタリア人として史上初だとのこと。

まだ22歳。
そして、準決勝でシナーを破って決勝に進出し、見事に優勝したスペインのアルカラスも21歳。
一方、これまでずっと世界をリードしてきた王者ジョコビッチ(37歳)は、怪我という不運な理由もあったが、準々決勝に進むことが出来なかった。ナダルも初戦敗退。

新たな時代が、今、確実に幕を開けようとしている。

シナーとアルカラスは、これからもずっとライバルとして覇権を賭けて競い合い、壮絶な試合を繰り広げていくのだろう。私はちょっとだけシナーに肩入れしつつ、輝きを放つ二人をこれからも注目していきたい。

最新のニュースとして、スペイン・テニス協会が、パリ・オリンピック派遣の代表選手として、ナダルとアルカラスの二人を選出したことを正式に発表したそうである。
シングルスだけでなく、もしかしたらダブルスで二人が組むかもしれず、もしそうであれば、夢のタッグになるだろう。スペインにとってだけでなく、世界が沸くコンビの誕生ということで、是非実現してほしい。

それにしても全仏を観ていて思ったのだが、グランドスラム大会の場合、男子は3セット奪取によって勝利が決まる方式。もしフルセットまでもつれ込むと、試合時間は4時間超え確実。いや、恐ろしく長い。今大会でも、4回戦のジョコビッチ戦では午前2時を過ぎてもまだ試合が続いていたのだが、そんなのあり??
やっている方も大変だろうし、観ているお客さんもうんざりでは? いいんでしょうか、これで?

 

さてさて、いよいよ始まるサッカー・ユーロ2024。
国内放映がずっと決まらず、ファンはやきもきしていたが、最後の最後で、WOWOW、そしてABEMAが放送及び配信することが決定した。
放映権料を巡り、裏では相当の駆け引きを繰り広げていたであろうことは、想像に難くない。

一足先にWOWOWが放映権獲得を発表し、SNSでは「WOWOWさん」がトレンド入りするなど、多くの人が感激に咽いだが、こちらは有料放送。その後、ABEMAの無料配信決定が発表されると、WOWOW絶賛の声が一気に萎んでしまった(笑)。

まあそれでも、WOWOWを支持し、WOWOWで視聴する人は根強くいると思う。私もその一人。サッカー放送の実績十分、何と言ってもチャンピオンズリーグの放映権を握っているのだからね。これは強い。


気になる優勝争いでは、下馬評が高いのがイングランド、フランス、そして開催国ドイツの3か国。これに、スペイン、ポルトガルが次ぐ。
いかにもありきたりな強豪国の名前が並び、あまり面白くないが、でも順当な感じ。私も、「やっぱフランスかなー」なんて思っている。

個人的に注目しているのがポルトガル
さすがにクリスティアーノ・ロナウドはもういいとして、マンチェスター・シティ在籍のベルナルド・シウバ選手の個人能力を非常に高く買っていて、彼が大活躍する姿を是非見たいのだ。

あとは開催国ドイツ。
日本にボロ負けしてから、知将ナーゲルスマンがどれほど立て直してきたかが焦点。今大会で引退を表明しているレアルのトニ・クロースの最後の勇姿も目に焼き付けたい。

ワールドカップもそうだが、大会が始まり、連日試合を観戦していると、1か月があっという間に過ぎる。そうこうしているうちに、次の旅行がやってくる。楽しみだね~。

2024/6/9 ロベルト・アラーニャ テノール・リサイタル

2024年6月9日  ロベルト・アラーニャ テノール・リサイタル   サントリーホール
プッチーニ没後100年 スペシャル・プログラム》
指揮  三ツ橋敬子
管弦楽  東京フィルハーモニー交響楽団
「妖精ヴィッリ」より 幸せに満ちたあの日々
マノン・レスコー」より なんと素晴らしい美人
ラ・ボエーム」より 冷たい手を
「トスカ」より 星は光りぬ
蝶々夫人」より さらば、愛の家
トゥーランドット」より 誰も寝てはならぬ    他

 

アラーニャを聴くのは14年ぶり。
そもそも彼を聴いたこと自体が、これまでにたったの2回しかない。
そうこうしているうちに、もう61歳だという。(6月7日が誕生日だったらしい)
「大丈夫かなあ・・・衰えちゃってないかなあ・・・」
なんて思いながらの会場入りだったが・・・。

第一声を聞いた瞬間、思わず背筋が伸び、瞠目した。
地中海に降り注ぐ陽光のように明るく、伸びやかで、甘くて優しいあの声。
それは、正真正銘、紛れもない、リアル・アラーニャだった!

お姿は、さすがについイメージしてしまう往年の若きプリンスではなかったが、それでもステージに登場した瞬間にスポットライトが当たるかのような眩しさ。笑顔を振りまき、手を振り、まさにスターの振る舞い。多くの女性を含め、長年彼の来日を待ち侘びていたファンは、さぞや歓喜したことだろう。また、待ち侘びたファンだけでなく、オペラマニアたちにも十分に唸らせ、満足させるリサイタルだったと思う。

一通りのプログラム終了後、「それじゃ、アンコールね」といって歌おうとしたら、指揮の三ツ橋さんとオーケストラから「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」の演奏と、主催者から花束のサプライズ・プレゼント付き。


ところで、今回のプログラムはオール・プッチーニだったわけだが、チェックしてみたら、ちゃんとオペラ作品の初演年の順に並べてあった。
さすがにすべての作品のアリアをプログラムに網羅させるのは無理かと思いきや、アンコールで、「つばめ」、「外套」、そして最後に「ジャンニ・スキッキ」のテノールのアリアを歌い、なんとまあ、完成させてしまった! プッチーニ全作品制覇である。やるねえ!
(ジャンニ・スキッキのリヌッツィオのアリアを歌う前に、「本当はこの曲は、若い人が歌うんだよね。私はもう歳を取ってるけど・・」とお客さんに冗談話を入れていたのが、面白かった。)

2024/6/8 N響 A定期

2024年6月8日   NHK交響楽団 A定期演奏会   NHKホール
指揮  原田慶太楼
反田恭平(ピアノ)
スクリャービン  夢想、ピアノ協奏曲、交響曲第2番

 

ダブルヘッダーの二発目、N響。なんと、完売公演。
ひええぇぇ~。

いや、これはさすがに反田くんだからですな。
相変わらずすごい人気。スクリャービンで、NHKホールで、ソールドアウトするとは。
もっとも、熱心なファンにとってみれば、彼が弾くのなら何でもいいんだろうけど・・。

私の興味関心は、専らスクリャービン。ピアノ協奏曲も交響曲第2番も、生ではこれまでに1度しか聴いたことがない。このプログラムだったら、反田さんでなくてもN響でなくても、私は行く。

まず、ピアノ協奏曲。
反田恭平、さすがに上手い。技術的に上手いだけでなく、ニュアンスの表現が巧み。表情が多彩なのだ。彼は引き出しをいっぱい持っている。
で、曲の動かし方、頂点への持って行き方などは、ちゃんと指揮者、オーケストラと会話していて、独り善がりになっていないというのも、好印象。

しかしこの曲、配布プログラムの解説では「ショパンの影響が色濃い」と書いてあるのだが、そうなのかねえ・・どちらかというとラフマニノフっぽさが聴こえるぞ。特に第3楽章なんか。
いずれにしても、もっと演奏される機会が増えてほしい作品だと思う。


メインの交響曲第2番。
こちらも、作品の良さを全面に打ち出した爽快な演奏だ。
このところ目覚ましい活躍を見せている指揮者の原田さんだが、そうした進境を頷かせる切れ味鋭い音楽作りである。

若いのでタクトに力があり、動きがダイナミックなのはある意味当然として、感心するのは、自分が踊るのに一生懸命なのではなく、オーケストラが気持ちよく演奏しやすいように、乗せるように盛り上げ、誘導している点だ。オーケストラ側からすれば、「ああいう風に引っ張ってくれると、頑張って演奏しちゃうよね」という感じではなかろうか。
オーケストラが彼を好んで起用するのが、何となく分かる気がした。


それにしても今回の公演では、指揮者、ソリスト、そしてコンマスを務めた郷古さんと、若さがアピールされたフレッシュな演奏会だった。
巨匠の客演が多い保守的なN響だが、これはこれで新時代の幕が明けようとしている感じがした。今月の定期は、BもCもそういう狙いであることは一目瞭然。

2024/6/8 新日本フィル

2024年6月8日  新日本フィルハーモニー交響楽団   すみだトリフォニーホール
指揮  シャルル・デュトワ
ハイドン  交響曲第104番 ロンドン
ストラヴィンスキー  ペトルーシュカ(ピアノ:阪田知樹)
ラヴェル  ダフニスとクロエ 第2組曲

 

ダブルヘッダーの一発目、新日本フィル。なんと、完売公演。
ひええぇぇ~。 何で??
阪田くんだから? デュトワだから?
両方か・・。
プログラムもいいしねぇ・・。

私の興味関心もやっぱりペトルーシュカだったわけだが、阪田くんはまあいいとして、信じられないことにデュトワが指揮するペトルーシュカを私はこれまで生で一度も聴いたことがなかったのだ。ストラヴィンスキーが得意なデュトワだけに、どうしてこれまで機会が無かったのだろうか。
不思議なことである。

さて、まず「ロンドン」。
あまり期待していなかったのだが、これが良かった。デュトワの音楽というのは、音程やフレーズ処理も含め、曖昧さが無く、クリアで透明感があり、整然と響かせるのが特長だが、まさにそのように徹底された音楽だった。さすがデュトワ、きっちりと丁寧に作ってきたという印象。

続くペトルーシュカも、メインのダフ・クロも、基本アプローチは同様。感想も同様。きっちり、整然と、という感じ。

デュトワ、自分の思い描いたとおりの音を構築することが出来て、会心の演奏、満足のいく出来だったのではあるまいか。新日本フィルも、良い仕事をしました。


それにしても、デュトワ、若い。タクトの機敏さは昔とほとんど変わらない。若作りしている髪はまあいいとして、とても87歳とは思えない。

そういえば、つい先日に聴いたインバルも88歳。
いやはや、信じられませんね・・・。

デュトワとインバル、両爺の共通点。
指揮しながら、ここぞという所で「唸る」(笑)。

2024/6/5 都響

2024年6月5日   東京都交響楽団   東京芸術劇場
指揮  エリアフ・インバル
ブルックナー   交響曲第9番(SPCM版、A・フィリップス最新改訂による第4楽章付)

 

第1001回の定期演奏会
前日の「1000回」(@サントリーH)の方が特別なんじゃないかと思い込む人もいるかもしれないが、単なる気分の問題。そう思う人は、それで自分の気分が盛り上がるのなら、よろしいかと。
私なんかは、同じ指揮者、同じ演目だし、同じリハーサルをしているのだから、どっちでもいい。(もちろんホールの違いはあるけどね。)
もし1000回と1001回とで演奏上に違いが出るのだとしたら、それはプロとしての資質上の問題。

一方で、都響定期演奏会を1000回にまで積み重ねたということについては、心からお祝いを申し上げたい。
偶然だが、今月は東京フィルハーモニー交響楽団も同じく1000回定期を迎えるわけだね。素晴らしいね。


記念公演を指揮するのは、桂冠指揮者のインバル。これまでの都響での功績を考えれば、当然の御指名と言えようか。

演奏はさすがに気合いが入っていて、パワー全開、技術レベルも高く、まさに渾身の演奏だった。
おそらく、記念公演ということでチケットもソールドアウトし、満員の聴衆が集中力をもって耳を傾けているのが、ステージ上の奏者さんたちにちゃんと伝わっていたのだと思う。
で、そうした熱気を受け止め、気迫を音に変換して吹き込み、圧倒的な頂点に導くことが出来るのがインバルという指揮者なわけだ。


さて、問題の(?)SPCM版、A・フィリップス最新改訂による第4楽章について。
正直な感想としては、やはり違和感はある。ブルックナー風ではあるが、それでも誰か別の人が作り、取って付けた感が拭えないのだ。

ところが、配布プログラムに掲載されていた解説を読むと、「ブルックナーが遺した、実に490頁に及ぶ手稿や草稿を改訂」したというもので、このうち約3分の1は完全なオーケストラ・スコアが残っていた、というのである。
つまり、完全ではないが、そのほとんどはブルックナー本人のイメージに沿っていることになる。「ホントかよ!?」と勘ぐりたくなるが、そういうことらしい。

ということは、単に聴き手側の先入観と聴き慣れの問題なのであろうか・・・。

いずれにしても、多くのブルックナーファンの意見と同じく、「三楽章で終わりでいいじゃん」に、私も一票。


未完作品を補筆するのは、定着度や固定観念、好みの問題、所詮は学術研究的な価値でしかないという議論もあり、一筋縄ではいかない難題であろう。
そういう意味でいうと、マーラー10番を補完したクック、トゥーランドットを補完したアルファーノ、ルルを補完したツェルハなどは、良い仕事をしたのだなと、改めて思う。

それからもう一つ。
せっかくの記念公演だというのに、せっかくの名演だというのに、あちこちから作品の補筆の件が話題に上ってしまうのは、どうなのだろう?

インバルは、さぞや満足したことだろう。

都響さんは、それで良かったの??

2024/5/27 ル・コンセール・デ・ナシオン

2024年5月27日   ル・コンセール・デ・ナシオン   フィルハーモニー・ドゥ・パリ(フィラルモニ・ドゥ・パリ)
指揮  ジョルディ・サヴァール
管弦楽  ル・コンセール・デ・ナシオン
合唱  ラ・カペッラ・ナショナル・デ・カタルーニャ
リナ・ジョンソン(ソプラノ=ハンネ)、ティルマン・リシュディ(テノール=ルーカス)、マティアス・ヴィンクラー(バス=シモン)
ハイドン  オラトリオ 四季

 

5月旅行の最終公演。締めを飾るのが、ハイドンの「四季」。
渋ぃ~。

指揮のJ・サヴァールは、知る人ぞ知る、古楽の巨匠。
古楽マニアの間では、「W・クリスティ、T・コープマン、鈴木雅明らと並び称される」と囁かれている・・・。

・・・スミマセン、嘘です(笑)。
でも、彼のことを神のように崇める熱心なファンがいるという話は聞いたことがある。
それに、サヴァール&コンセール・デ・ナシオンは、今年のザルツブルク音楽祭に客演することが決まっていて、世界的にもしっかりと認められたコンビなのだ。

ちなみにサヴァールは、日本にも昨年10月、エスペリオンⅩⅩⅠという古楽アンサンブルを率いて来日した。彼は同時に演奏者であり、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者としても有名。


本公演に関しては、そんなサヴァールより、ハイドンの四季を聴く絶好の機会ということでチケットを買ったのだが、古楽アプローチの澄み切ったハイドンの音楽が胸を打った。

サヴァールは御年82歳で、杖をつきながらステージに登場したが、タクトはエネルギッシュで、熱い。オーケストラも、合唱も、指揮者の合図を決して見逃さないように集中しつつ、演奏中の表情は皆柔らかく、体を揺らし、楽しんで演奏している感じで、とても心温まるコンサートだった。


これにて5月の旅行記、おしまい。
今回は、いくつか出演者の変更はあったけど、予定していたすべての公演を鑑賞することが出来た。
移動もほぼ順調で、交通における遅延やトラブル、その他想定外のアクシデントみたいなのは無く、本当によかった。
ただ、帰国タイミングでの日本への台風接近、オルリー空港のスト、パリでの天候不順、南ドイツの洪水発生などが起こっていて、たまたま運良く日にちがずれて回避できた、というのもあった。

そう、たまたま、運良く、なのだ。海外というのは、結局何が起こるか分からないし、常にリスクが伴っている。