クラシック、オペラの粋を極める!

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2024/10/3 東京シティ・フィル

2024年10月3日   東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団  東京オペラシティコンサートホール
指揮  高関健
スメタナ  連作交響詩 わが祖国

 

ブルックナーの影に隠れちゃっているが、スメタナも生誕200年なのであった。
高関&シティ・フィルは、前回9月の定期演奏会でまずブルックナーの生誕200年記念演奏会を行い、今回続けてスメタナの記念演奏会を行った。

なんでも、高関さんにとって「わが祖国」は、特別な曲なのだそうだ。
中学生の時にノイマン指揮チェコ・フィルの生演奏を聴いて、ものすごく感激し、スコアを買ってレコードを擦り減らすくらい聴き込んだのだという。まさに音楽に目覚めた、開眼した作品ということらしい。
2015年のシティ・フィル常任指揮者就任披露演奏会で採り上げたのも、この曲。私は行かなかったが、名演との評判を呼んでいた。深い思い入れによって成し遂げた成果だったのだろう。

そういうことで、高関さんがスメタナの生誕を記念してこの曲を再度演奏するのは、ある意味必然だろうし、名演を聴き逃した私にとっても、本公演に駆けつけるのはマストなのだった。


私にとっては、「わが祖国」は特別に好きな曲というほどではない。けれども、多くの人に愛され、親しまれているのは、よく分かる。
情景描写に溢れていて、聴いていて景色がまぶたに浮かぶくらいに分かりやすいし、何よりも旋律がゾクゾクするくらい美しいからだ。「モルダウ」なんか、まさにその真骨頂。

指揮者だって、自らオーケストラをリードしつつ、その美しい音楽にどっぷりと浸ったら、最高に気持ちがいいのではないか。コバケンなんか、まさにそうした幸福感に満ち溢れた指揮をしていた。

特別な思い入れを持つ高関さんだって、そういう指揮をしても決しておかしくない。
だが、あくまでも演奏全体を俯瞰し、バランスを取り、チェコ・フィル仕込みの音楽を丁寧に紡いでいくという指揮者の仕事に完全に徹しているのが、さすがは高関さん。
やりたいこと、方向性が明確でブレがなく、タクトはあくまでもそのための操縦になっている。

シティ・フィルが、そうした指揮者の方向性に心から共鳴して演奏しているのが素晴らしい。
おそらくオケ奏者さんたちは、「この指揮者の言うことに従っていれば間違いない」という全幅の信頼を寄せているのだと思う。両者の関係は緊密に結ばれ、最高潮を迎えているのではないか。

スメタナブルックナーの生誕200年という記念公演を行った高関&シティ・フィル。

だが、忘れてはいけない、今シーズンは高関さんのシティ・フィル常任指揮者10周年を迎えるのだということを。この良好な関係がこれからも続くことを、指揮者もオーケストラも、そしてファンも、きっと望んでいることだろう。