2024年9月30日 河村尚子 ピアノ・リサイタル サントリーホール
バッハ/ブゾーニ シャコンヌ
岸野末利加 単彩の庭Ⅸ
プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」
ショパン 即興曲第3番、ピアノ・ソナタ第3番
半年前くらいにチケットを買ったのだが、実は何を隠そう、どうして本公演に行こうと思ったのか、今となってよく思い出せない・・。
何らかの「聴きたい」という衝動や関心があったから買ったのは間違いないとは思うが、それが何だったのかは忘れてしまった。
「デビュー20周年」を記念したリサイタル。
これかなぁ??(笑)
デビューというのは、「日本デビュー」なんだとさ。
「ワタクシ、日本より先に海外でデビューしていますの・・」自慢?(笑)
まあそれは冗談として、これまで私は彼女の演奏をオーケストラ公演のコンチェルトでしか聴いたことがないので、もしかしたら、そういうことなのかもしれない。
プログラムの構成を見て伺えたのは、演奏家としての自信と懐の深さ。
ドイツで育ち、ドイツ系の作品が身近にありながら、王道のショパンをメインに据えつつ、プロコや日本人作曲家の新作を配置。長年の経験を積んで幅広いレパートリーを手にし、その充実ぶりを堂々披露する。
また、演奏からも、そうした自信の裏付けとなる洞察力が感じられた。
一例を挙げると、プロコフィエフの場合、技巧を駆使した躍動的な演奏でありながら、しばしば無色透明で無機質な演奏を耳にするのだが、彼女の演奏の中からは音色の変化や遠近感、彫りみたいなものが見つかった。
委嘱された新作でも、作品の中から何が見えるのか、作曲家は何を表したかったのについて、非常に丁寧に探っていた。
総じての感想は、一言、「深い」であった。
ところで話は変わるが、近年、日本人演奏家のリサイタルに行くと、演奏の前や合間にマイクを持ち、来場のお礼やご挨拶、そして作品の紹介についてお話する、というパフォーマンスをよく見かけるようになった。
演奏家がお客さんに対して話しかけるというのは、親近感を醸し出すという点で良い傾向だろうし、演奏家が作品をどのように解釈したのかについて解説するというのも、聞き手にとってありがたいことだろう。
中には「口で語るのではなく、演奏で語れ」というシビアな意見もあるかもしれないが、私なんかは素直に良いことだと思う。
クラシックじゃないけど、さだまさしさんのコンサートでは、「歌よりも合間のトークの方が断然面白い」とのもっぱらの評判だけど、さすがにそれはいかがなものか?(笑)