クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ヴェルディのレクイエム

前回ブログでも触れたとおり、私の「ヴェルディのレクイエム」初鑑賞は、今から40年くらい前(すっげー昔!)、高校3年生の時、アルベルト・エレーデ指揮の東京フィル公演だった。
エレーデと言えば、mathichenさんもコメントしてくださったとおり、日本オペラ史に燦然と輝く1959年「イタリアオペラ歌劇団」来日公演で、あのデル・モナコが出演した「オテロ」を指揮した伝説の巨匠。そのエレーデを聴いたのだから、本当なら鼻高々なはず。
ところが、何せそれまでレクイエムという曲を知らず、友人から誘われるがままに付いて行ったコンサートということで、実はちょっぴり歯がゆい。
(高校生の分際でエレーデというマニアックな指揮者を知っていたその友人クンは、なかなか大したヤツ。尊敬しちゃうね。ちなみに、私が初めて小澤征爾のコンサートに行ったのも、彼のお誘い。新日本フィルの第9でした。)

むしろ、私の重大なヴェル・レク公演は、その次、2回目鑑賞の時だった。これは人生のエポックメイキングだったと思う。
「1988年9月」といえば、「ああ、あれね」とピンとくる方もいらっしゃるかもしれない。
私にとっての事件、黒船の襲来。
ミラノ・スカラ座来日公演である。

この空前の引っ越し公演、まずムーティが指揮した「ナブッコ」によって、固く閉まっていたオペラの扉が、ガーッと開いた。
そして、数日後に行われたこのレクイエム公演で、「オレは一生ムーティ先生に付いて行く!!」と心に決めた。
忘れもしない。感激でボロボロになるくらいに涙に咽び、演奏終了後、居ても立っても居られずにステージ袖に駆け寄り、最後の最後まで拍手を送り続けたことを。
この演奏は、本当に金字塔であり、決定打だった。
(会場は昭和女子大学人見記念講堂ソリストダニエラ・デッシーアグネス・バルツァ、山路芳久、ポール・プルシュカだった。)


以降、私は先日の二期会の演奏まで、これまでに合計19回生鑑賞している。
そのうち、驚くなかれ、9回がリッカルド・ムーティ指揮なのだ。

これだけ聴いているということは、つまりそれだけマエストロムーティがこの曲を頻繁に演奏している、という証左でもある。
ムーティは、スカラ座音楽監督時代、オペラの引っ越し公演で来日すると、毎回と言っていいくらい特別コンサートとして、この「ヴェル・レク」を演奏した。
スカラ座だけでなく、シカゴ響公演でも、単身来日での東京春祭特別オーケストラとも、この曲を演奏した。
私は更に、ミラノ、ザルツブルク、フランクフルトでも聴いた。(ザルツではウィーン・フィルだった。)

要するに、「ヴェルディのレクイエムこそ、マエストロムーティの一撃必殺の勝負曲」ということなのだと思う。

この勝負曲を9回も聴けたという体験は、私の人生の宝物。
もうこの回数を増やすことは出来ないのだろうか・・・。