2008年9月21日 IFACオペラ 新宿文化センター
大江戸版好色男のファルスタッフ
ヴェルディ作曲 ファルスタッフ
指揮 ドブス・フランクス
演出 大島尚志
深見東州(ファルスタッフ)、ロバート・タッカー(フォード)、大貫裕子(アリーチェ)、ミリアム・シャラッド(メグ)他
試みとしては面白い。ナイスな企画だ。こういうのアリだと思う。ファルスタッフはオペラにありがちな仰々しくて大げさなストーリーではなく、誰もがクスッと笑ってしまうような喜劇がベースだ。だからそれを浅草下町の江戸大衆芝居に仕立てること自体は、昨今のオペラに見られる過激な現代読替え演出に比べれば、ずっと良心的で親しみが持てるではないか。そういうことで期待を大きくふくらませて公演に出掛けた。
ところが・・・結果はあまり楽しめなかった。大変残念なことであったが、歌唱、オーケストラ、オペラとしての音楽性、芸術性において、低レベルと言わざるを得ない。
会場はビックリするくらい人が入っていて、熱気さえ漂う。出演者のコミカルな演技、振付に観客は沸き、笑う。ほとんどの人たちが‘お芝居’を楽しんでいた。その点において公演は成功だったと思う。だが、所詮それは単なる‘お芝居’に過ぎなかった。
私にとって、まずは高い芸術性を有する音楽こそが第一である。そこを二の次にして、「楽しませよう、笑わせよう」を上演の意義にしてしまっては、オペラマニアは楽しむことが出来ない。あざとさしか感じられない。
特にファルスタッフを演じた(「歌った」とはあえて言わない)深見氏は、プログラムを読んだところ芸術に関する立派な見識をお持ちなのだから、主催者兼プロデューサーに留まるだけにしてほしかった・・・。
あんまりグダグダ書くと文句になってきてしまうのでここらへんにしておきまーす。