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2024/7/5 都響

2024年7月5日   東京都交響楽団   サントリーホール
指揮  ヤクブ・フルシャ
五明佳廉(ヴァイオリン)
ブルッフ  ヴァイオリン協奏曲
ブルックナー  交響曲第4番 ロマンティック

 

2010年度から8年間都響の首席客演指揮者だったフルシャだが、期間中、私はたったの1回しか聴いていない。
もちろん良い指揮者だという評判は聞こえていたのだが、「専らチェコ作品の演奏に力を入れている指揮者」という印象だった。私の場合、コンサートに行くにあたり「誰が演奏するか」より、「何を演奏するか」の方が重要で、その意味でフルシャのプログラムにあまり魅力を感じなかった。
それに、こんなこと言っちゃ何だが、当時フルシャが持っていたポストは、「プラハ・フィルハーモニア」というマイナー・オケの首席くらいで、彼をそんなにすごい指揮者とみなしていなかったのであった。

その後、フルシャはあれよあれよという間に世界の楽壇を席巻。バンベルク響、フィルハーモニア管、チェコ・フィル、サンタ・チェチーリア管といったオーケストラのポスト(首席客演を含む)を手に入れ、ついに来シーズンからロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督に就任する。

いや、びっくりだ・・・。

同時に、「プラハ・フィルハーモニア首席」という肩書で指揮者を分別判断してしまった自分をひたすら恥じ入る。情けないですな・・。


今回、凱旋となったフルシャの都響客演。
2つのプログラムのうち、もう一つの方が全部チェコ作品で、やっぱりパスしてしまったが(笑)、さすがにブルックナーは聴き逃すわけにはいかない。


その前に、五明佳廉のブルッフ
彼女の演奏を初めて聴いたが、鮮烈なインパクト。切れ味があり、響かせ方が巧みで、楽器があたかもしなるかのように大きく鳴る印象。
今回のプログラムは、おそらくメインのブルックナーも含めた全体バランスでブルッフになったと思われるが、よりテクニカルな近代作品のコンチェルトも聴いてみたいと思った。


メインのブルックナー。こちらも素晴らしい演奏。
フルシャのアプローチ、コンダクティングがいい。
オーケストラの自主性に任せ委ねる部分と自らが引っ張る部分を、巧みに使い分けるさじ加減が絶妙。また、豪快に鳴らすのではなく、節度を保ちながら、古典的、あるいは室内楽的にバランスよく響かせる。
これは、あれですかねー、やっぱりバンベルク響との結び付きの賜物ってやつなんでしょうかねー。いや知らんけど。

テンポや起伏の変化も味わいがあり、充実の演奏だった。
きっとオーケストラの都響が、久しぶりのフルシャとの共演を楽しみながら、最高の形に仕上げたのだと思う。
大野さんやインバルとは全然違う音。こういう切り替えが出来るというのも、きっとオーケストラの能力の高さなんだろうね。