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2024/1/31 札響

2024年1月31日   札幌交響楽団 東京公演   サントリーホール
指揮  マティアス・バーメルト
イアン・ボストリッジテノール)、アレッシオ・アレグリーニ(ホルン)
ブリテン  セレナード - テノール、ホルンと弦楽のための
ブルックナー  交響曲第6番

 

何を隠そう、札響を聴くのは、初めてなのであった。
首席指揮者であるマティアス・バーメルトが振る公演というのも、初めて。
氏は、3月末で任期満了により首席のポストを退任する。
ということで、札響とのコンビによる演奏を聴くのは、たぶん最初で最後。
(ポストを離れた後、客演という立場で指揮をする公演を聴く、という可能性は、まったく無いわけではないが・・)

札響はこれまでにも定期的に東京で公演を実施している。だというのに、一度も足を運ばなかったのは、単純に自分的にプログラム・演奏曲目に惹きつけられるものがなかったからだと言えよう。決してローカル・オーケストラに目もくれないわけではありません。

逆に言えば、今回の公演にはプログラムに魅力を感じたということ。
しかも、ブリテンには、定評のあるボストリッジが出演する。これは聴き物ではないか。

その1曲目のブリテン
この作品もまた初めて聴いたが、やはりソリスト2人が良い出来。
アレグリーニは、スカラ・フィル、サンタ・チェチーリア管、ルツェルン祝祭管などで活躍中とのことなので、オーケストラの中の演奏で、どこかで聴いているのかもしれない。輝かしくて骨太なホルンの響きをたっぷりと堪能できた。

そして、ボストリッジ
さすが、ブリテン演奏の第一人者らしく暗譜での歌唱で、作品を手中に収めている。
つい思いを馳せてしまうのは、ブリテンの公私のパートナーだったテノール歌手ピーター・ピアースだ。
ピアースとボストリッジは、時代が違うし、もちろん声質も違うし、解釈やアプローチだって違うだろう。だが、ブリテンの良き理解者という意味では、きっと共通している。ブリテンの真価をしっかりと認めさせようとする姿勢も伺えるし、曲想を正確に体現していると実感させる、説得力のある歌唱だった。


メインのブルックナー
私はバーメルトのキャリアや得意のレパートリーなどについて、よく知らない。だから、彼の中におけるブルックナーがどのような位置付けなのか、分からない。
純粋に演奏を聴いた印象で言うと、ブルックナー特有の教会のオルガン音楽のような宗教性や、ロマン派の頂点のような構築性はあまり感じられなかった。
ブルックナーの特徴の一つとして、「シューベルトの伝統的な古典様式からの延長・派生」みたいな指摘を、評論家の意見だか文献だか、どこかで見かけた記憶があるが、バーメルトのブルックナーは、なんとなくそのような潮流ではないか、と勝手に思った。

あるいは、これはもしかしたら、札響の持つアンサンブル特性、あるいは編成の大きさに合わせた音楽作りを意識した産物ということも、あるかもしれない。
いや、分からないけど。あくまでも個人的推論。


そういえば、札響は、日本でもトップクラスの音響を誇り、東京のホールに決して引けを取らないと言われる札幌kitaraホールが本拠地だ。
もしかしたら、このホールの音響特性に合わせた音楽作りというのも、あるのかもしれない。
いや、しらんけど、ね。


そのkitaraホール、まだ行ったことがないのである。行ってみたいよなー。
ジークフェライン、コンセルトヘボウ、カーネギー、ベルリンのフィルハーモニーにも行っているのに、国内にある屈指の名ホールに行ったことがないって、それはちょっとヤバいだろ。