クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/10/21 サンタ・チェチーリア管

2023年10月21日   ローマ・サンタ・チェチーリア管弦楽団
会場:アウディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカ  サンタ・チェチーリアホール
指揮  ヤクブ・フルシャ
合唱  ローマ・サンタ・チェチーリア国立音楽院合唱団
コリンヌ・ウィンタース(ソプラノ)、リチャード・サメク(テノール)、ロマン・ホーザ(バリトン
スメタナ  売られた花嫁より 序曲と舞曲
ドヴォルザーク  カンタータ「幽霊の花嫁」

 

ローマでの音楽鑑賞は、オペラではなくコンサート。
ちょうどオペラ座ではヘンデルの「ジュリオ・チェーザレ」をチクルス上演中だったが、迷った結果、サンタ・チェチーリア管にした。チェチーリア管を現地で聴くのは初めてだったし、ローマのコンサートホールにも行ってみたいと思ったからだ。

さて、本公演のチケットであるが、当日券で入手した。
私は海外におけるコンサートやオペラについて、常に事前の情報収集に抜かりはなく、チケットも可能な限り予めネットから手に入れる。ところが、今回はこれが出来なかった。
チェチーリア管のチケット販売は、「チケット・ワン」という日本のぴあのような会社に委託されている。なので、チケットを買うためには、このチケット・ワンのアカウント登録が必要だった。
しかし、この登録に必要な本人認証が、何度もトライしたのに、SMSで送られてくるはずのパスワードがどうしても送付されず、手続きを完了させることが出来なかったのだ。

これがもし、売り切れ必至の価値のあるコンサートだったら、地団駄を踏むところだった。だが、演目や指揮者、会場のキャパシティ等を総合的に見て、「まあ、たぶん現地に行って、何とかなるだろ」と見込んだ。案の定、当日券が問題なく買えたというわけだ。


今回のメインプロ、ドヴォルザークの「幽霊の花嫁」。滅多に上演されないレア作品である。チェコ語による合唱とソリスト歌手が必要とあっては、レアになってしまうのは当然の成り行き。はたして日本でこれまで演奏されたことがあるのだろうか?
いずれにしても、上演するのなら、これはもうチェコ人指揮者に任せるしかない。ヤクブ・フルシャという指揮者がいる、その価値は大きい。
ちなみに、フルシャはチェチーリア管の首席客演指揮者だ。


まず前プロの「売られた花嫁」だが、明るく、特に弦楽器の素早いパッセージがキラキラと光る楽曲で、オケ奏者がノリノリ。こういう曲を演奏する時、外国オケの奏者って顔の表情も含めて楽しそうに弾くが、チェチーリア管、まさにラテンのノリで、踊るように演奏。聴いているこっちも嬉しくなるし、指揮者のフルシャも嬉しそう。

メインの「幽霊の花嫁」は、カンタータということで、今度は歌手ソリストと合唱が大活躍。音楽自体もかなりドラマチック、オペラチック。で、フルシャのタクトもダイナミックかつエネルギッシュ。燃えるような熱狂的演奏で大いに盛り上がった。


正直に言うと、この「幽霊の花嫁」、輸入盤CDを持っているので音楽は聴き馴染んでいるが、歌詞の内容、ストーリーについてはまったく知らない。タイトルからして何だか不気味だし、はたして熱狂的な演奏が作品上適切だったのかどうかはちょっと不明。
だけど、まあいいでしょう。フルシャがそういう音楽を作ったということは、きっとそのとおりなんだろうし、お客さんのウケも上々だった。


会場のアウディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカのサンタ・チェチーリアホールは、写真のとおりコンサート専用の大ホール。ちなみに、付設している小ホールの名称は「シノーポリ・ホール」だとのこと。音響は、まあ普通といったところ。日本が誇る最先端コンサートホールには敵わないかな。

一方で、サンタ・チェチーリア管の23-24シーズン年間プログラムを眺めると、世界的な指揮者、世界的なソリストの客演が次々と目白押し。ラインナップは豪華そのもの。
ここらへんは、日本のどのオケも敵わない。

日本のクラシック・ファンは、ドイツやイギリス、フランスなどのトップオーケストラに比べて、あるいは日本のトップオケと比べても、サンタ・チェチーリア管をやや低く見ていないだろうか。
「イタリアはオペラの国であって、コンサートの国ではない」というレッテルも貼られているし。
だが、実際の演奏レベルの優劣はさておき、出演の演奏家たちを見渡す限り、チェチーリア管は十分に世界的なオーケストラと言って遜色ない。