クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2009/1/28 ベンヴェヌート・チェッリーニ

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2009年1月28日 ニュルンベルク歌劇場
ベルリオーズ ベンヴェヌート・チェッリーニ
指揮 クリスティアン・ロイター
演出 ラウラ・スコッツィ
ジャン・フランソワ・モンボワスン(チェッリーニ)、ライナー・ツァウン(バルドゥッチ)、メリー・テプレメッツ(フィエラモスカ)、フラチューイ・バッセンツ(テレーザ)、ジョルダンカ・ミルコヴァ(アスカーニョ)他


 旅行の初日に何を聴くか。これはかなり悩ましい問題である。長旅と時差とで、どうしても睡魔と戦う羽目になるからだ。
 いきなり必聴必見のメインイベントを初日に当てて、それでウトウトし寝てしまっては目も当てられない。かといって、どうでもいいかのような軽い演目にすると、かえって気が緩んでしまい、これはこれで睡魔が強烈に襲ってくるのだ。

 「特別な公演というわけではなく、出演者もビッグネームではないが、なかなか見られない珍しい演目」
 これこそが丁度良く、いい案配だ。まさにこの日の公演ね。


 ベンヴェヌート・チェッリーニというオペラ、知らない人結構多いと思う。マニアしか知らないのではないか?
 でも、ベルリオーズの名曲、序曲「ローマの謝肉祭」は有名で、ちょっとしたクラシックファンなら誰でも知っている。
 実は、「チェッリーニ」のオペラの主要モチーフを、短く管弦楽化したのがローマの謝肉祭なのだ。なので、旋律も親しみやすく、実に楽しい。クラシック音楽好きで有名な元首相も、自著の中で「若い頃ロンドン留学中にコヴェントガーデンでこのオペラを見たが、実に良い曲だと思った。」と述べている。更に、オペラのストーリーも分かりやすく、というより、まるでドタバタの吉本新喜劇みたいだ。 

 さて、今回のニュルンベルクでの公演。
 上記の通りストーリーはドタバタなので、思いっきりミュージカル風に仕立て上げられた舞台となった。ミュージカル風というより、ミュージカルそのものだ。

 そういうわけで歌手は常に踊りながら歌わされている。結構きつそうだ。また、せっかくの美しいアリアの聴かせどころで、その横で全然関係ない登場人物がギャグを演じて客席を笑わせる。演出家にとって「楽しければそれでよい」って感じだ。ただそれでは歌手はあまりにもかわいそうだろう。(もっとも、歌手自身も実に楽しそうに演じ、カーテンコールでもノリノリだったのであるが)

 実際、観客は大いに笑い、ウケていた。私の隣に座っていたご婦人など、「あっはっは!ぎゃはは!」と声を上げていた。(別に、そんなに大した面白いギャグではないのに・・・。)

 まあ、そういうおかげで結局睡魔は現れなかった。
 それに何よりも、珍しいベンヴェヌート・チェッリーニを初めて聴くことが出来たのだ。いやいや、良かったではないか!


 前菜は終わった。明日からいよいよ料理のグレードがぐんぐん上がって行きます。