2024年4月13日 東京・春・音楽祭 東京文化会館 小ホール
《ブラームスの室内楽Ⅺ》
周防亮介(ヴァイオリン)、小川響子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、向山佳絵子(チェロ)
ブラームス 弦楽四重奏曲第1番、第2番、第3番
2014年から本音楽祭でシリーズ化されている「ブラームスの室内楽」。今回が11回目で、発表によると、これが最後になるという。
第1回からずっと出続けているのが、ヴィオラの川本さん。つまり、彼女が企画の要であり、なおかつシリーズをここまで継続させた功労者ということだ。
チェロの向山さんも出演回数が多く、あとは作品に応じて、出演者が臨機応変に揃えられてきた。今回のこの4人による演奏は初めて。
言うまでもなく、日本を代表する弦楽器奏者の方々である。
メンバーを固めて活動しているクァルテットの演奏を聴くのも良いが、こうして普段一緒に活動していないトップ奏者たちが一同に会し、その結実を聴くというのも、これまた良い。
ちなみに、ブラームスの弦楽四重奏曲の3曲すべてをコンサートで聴くのは、私自身初めて。なので、楽しみにしていた公演だ。
ところで、ヴァイオリンの周防さんと小川さんは、甲乙付けがたい有能な奏者。いったいどっちが1stを弾くのだろうか、というのが実は個人的に率直な注目点だった。
ソロ活動の経歴で見るのなら周防さんに一日の長があるかもしれないが、一方で小川さんはあの「葵トリオ」のメンバーであり、室内楽の功績で彼女の方に分があろう。
結論はというと、ちゃんと分担した。第1番と第3番が周防さん、第2番が小川さん。なんとなく予想どおり(笑)。
演奏はもちろん言うことなし。「これぞブラームス」という室内楽を堪能。
単なる「4人で合わせました」ではなく、それぞれのパートからブラームスをとことん追求していく姿勢が見受けられ、「深い」と思った。
ヴァイオリンの1stと2ndを周防さんと小川さんでチェンジするだけで、様相がガラッと変わるというのも、面白かった。
演奏側からしてみると、技術的に作品を手中に収めたとしても、しっかりとブラームスの真髄を聴かせるという意味で3曲を一気に披露するのは、かなりハードだったのではないかと慮る。
また、通常どうしても旋律を担い、響きやすい高音パートを受け持つヴァイオリンの音が耳に入って来やすい性質があるが、チェロもヴィオラも均等に音が重なっていることにも感心した。
さすが川本さんと向山さん、ベテランの貫禄・・・
おっと、これって女性に対し表で言ってはいけない発言??(笑)