クラシック、オペラの粋を極める!

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スカラ座の新シーズン開幕公演

昨日は、スカラ座16-17新シーズン開幕演目「蝶々夫人」の一斉発売日であった。
ここ数年、12月はほぼ毎年ミラノを訪れている。開幕演目を観るのは恒例行事のようになってしまったが、それは、私がスカラ座のシーズン開幕公演を「スペシャルな物」と位置づけているからだ。
天下のスカラ座。シーズン開幕は必ず音楽監督が振る。その音楽監督が「今年はこれ!」と自信を持って披露する特別な演目。世界中のオペラファンが俄然注目。必見必聴なのだ。
 
当然チケットは熾烈な争奪戦、ボヤボヤしているとあっという間に売り切れる・・・はずだった・・。
かつて、実際に本当にそうだった。アボナメントの会員先行予約で大多数が売り切れ、一般向けのチケット枚数は最初から僅少。発売日と発売時間をしっかりチェックし、運を天に託してワンクリックに魂込め、必死に申し込み、ゲット出来たら思わずガッツポーズ!そういうことをこれまでに何度も繰り返してきた。
 
今年の蝶々夫人。私が狙った公演日の一般向け発売枚数は、約800枚だった。
800枚・・・なんだそりゃ!? 会員先行予約の売上が全然伸びず、ほとんどが一般向けに放出されたということだ。
申込みは全然余裕。焦る必要まったく無し。風呂入ってウ●コしてから申し込んでもまだ余裕。発売日から一日経った本日でも、全日程売り切れ公演ゼロ・・・。チケット、余りまくりである。
 
分からないでもない。音楽監督シャイーが振るとはいえ、出演歌手に「この人が出るのか!?すごい!」といった驚きはない。チョウチョウサンはマリア・ホセ・シーリ、ピンカートンはブライアン・ハイメル。「なんだかなあ・・」なのである。
 
だが、実を言うと、昨年12月の開幕公演も、やはり楽勝でチケットが買えた。
昨年はヴェルディ「ジョヴァンナ・ダルコ」。ネトレプコ、メーリといったスター歌手が華々しく登場したというのに。
 
ということはつまり、天下のスカラ座の神通力がもはや効かなくなってきたということか。
もうスカラ座は、イタリアオペラの総本山、殿堂でなくなっているのではあるまいか。
劇場の威光だけではない。
指揮者や歌手だってそうだ。
かつて綺羅星の如く名を刻んだ大物列伝。
トスカニーニ、セラフィン、アバドムーティ・・・。
カラス、テバルディ、デル・モナコ、シミオナート、スコット、フレーニ、コッソット、ベルゴンツィ、ドミンゴパヴァロッティ・・・。
彼ら彼女らは、もういない。
 
歌手の栄光の時代はとっくに終焉。牙城を守る最後の砦のスカラ座も、蝶々夫人新演出にラトビアのクセモノ演出家A・ヘルマニスを呼んでくる。
 
スカラ座よ、どこへ行く?
もうそろそろ、毎年の聖地巡礼も見直す時期に差し掛かっているのかもしれないが・・・とりあえず今何が起こっているのか、それは今冬、確かめてきたいと思う。