指揮 鈴木秀美
演出 エヴァ・ブッフマン
合唱 二期会合唱団
私はバロックにあまり傾倒していないが、機会を得てこうしてじっくり聴いてみると、このジャンル、侮れないなと改めて思う。原点に立ち返ることで再発見する美しさ、素晴らしさがそこにある。
構成がシンプルだが、そのシンプルな旋律や響きが実に素朴で、ストレートに心に染み入る。なんて良い音楽なのだろうと感心しきりだ。
オーケストラにしてもソリストしても若手が中心なので、確かに熟成していない。技術的な面でまだまだの部分もあるし、押しが足らないと思う部分もある。
でも、それらは些細なことで、実際のところほとんど気にならない。むしろ、作品に自らの持てる物を捧げ、音楽に忠実になっているのだなと、その姿勢に感心した。鑑賞を終えて、これほど清々しい気持ちで家路についたのは久しぶりだと思った。
それに、演奏を聴いた感想のトップに、上に書いたとおり音楽の素晴らしさに私は思いを馳せたのだ。
実はこれこそが演奏者に対する最大の褒め言葉なのではないかと、私は思ったりする。
演出については、はっきり言って物足りない。
この程度のためにわざわざ海外から招く必要があったのか。この程度なら日本人の演出家で十分。
と言いつつ、日本人を起用してこの程度の演出で良しとしてしまう風潮にも私は反対だが。
余談。
オペラの題材なんて、大雑把に見れば、どれも似たり寄ったりだもんな。