クラシック、オペラの粋を極める!

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2016/8/23 読響

2016年8月23日  読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  セバスティアン・ヴァイグレ
エルザ・ファン・デン・ヘーヴァー(ソプラノ)
 
 
8月はオフシーズン。一部の音楽祭を除けば、「これは!」と思うような公演はあまり見かけない。
そんな8月にもきちんと定期演奏会を組み入れる読響、偉い!
プログラムは本格的で、しかも私好み。招聘指揮者も一流。素晴らしい!
 
私はねえ、バイロイト音楽祭パルジファルの指揮をネルソンスがキャンセルした時、ひょっとして代役にヴァイグレが指名されるのではないかと密かに思った。彼は適任だと思った。例え先に読響と契約していたとしても、もしそうなったら、やっぱキャンセルしてでもバイロイトに行っちゃうんじゃないか、そりゃ仕方がないよなー、などと思った。
 
結果として、代役はヴァイグレではなかった。ヴァイグレは無事に来日してくれた。これは、読響公演を楽しみにしていた日本のファンにとってはとても良かった。
 
バイロイト音楽祭に出演した経歴もあるし、東京・春・音楽祭でマイスタージンガーを振ったこともあるので、ワーグナーを得意とする指揮者と見られることもあるかもしれないが、私はR・シュトラウスとの相性が非常に良いと思う。彼が振ったシュトラウスのオペラを幾つか観た上でそう実感しているのであるが、この日の演奏を聴いて、ますます確信を深めた。
 
とにかく音楽が生き生きとしている。オーケストラの各パートを躍動させるバトンテクが見事。オーバーな表情(顔芸)まで披露して、表現の多彩さを表出させている。時に軽妙、時に豪放磊落。これでシュトラウスらしい官能性が出てくれば文句なしだった。(つい、ウェルザー=メスト&ウィーン・フィルのダナエの愛と比較してしまった。すまん。)
 
読響も頑張った。家庭交響曲、技術的に結構難しい箇所がありそうなはずだが、それを難しいと感じさせないあたりに、オーケストラの成熟を感じた。
 
四つの最後の歌を歌ったファン・デン・ヘーバー。名前は知っていたが、聴くのはどうやら初めて。歌がオーケストラの響きに上手に溶け込んでいる感じがして好印象だったが、聴いていた席がP席だったので、細かなニュアンスは聞き取れず、それだけがちょっと残念だった。