クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/5/20 新日本フィル

2021年5月20日   新日本フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮  秋山和慶
伊藤恵(ピアノ)、小菅優(ピアノ)
モーツァルト   2台のピアノのための協奏曲
R・シュトラウス   アルプス交響曲


先日、飯守泰次郎さんの傘寿記念コンサートのことについて記事を書いた。
傘寿、つまり80歳ということでは、実は秋山さんもそうなのだ。なんと、同い年。
二人ともなお第一線で活躍し続け、日本のクラシック界を牽引している。素晴らしいではないか。

特に、秋山さんは全然変わらない。髪の毛は真っ白だが、昔から真っ白だった。相変わらずお元気で、年を取ったという感じがまったくしない。
ムーティなんかそうだが、年を取れば、タクトを振る腕の力は多少なりとも衰えてくる。その分を、円熟の立ち振る舞いや眼力、オーラなどでカバーする。
秋山さんの場合、そもそも昔から、若い頃から、タクトを力で振っていなかった。斎藤メソッドの忠実な実践の賜物なのだろうか、昔からタクトは無駄がなく洗練され、適正な加減で、機能的だった。

そんな秋山さんの機能的なタクトを、物足りないと思っていた時期があった。
良く言えば堅実だが、悪く言っちゃえば地味。もっとアグレッシブに、もっとエネルギッシュに・・・。

ところが、とあるコンサートで、いつものとおりの機能的なタクトなのに、熱を帯び、雄弁で、迫力のある音楽が展開されている様を目の当たりにし、驚愕したことがあった。
「そうか、見た目じゃないんだな。秋山さんの音楽の真骨頂は、まさにあの堅実なタクトから豪快な音を引き出すところにあるんだな。」

秋山和慶という指揮者を思い切り見直した瞬間だった。

そのコンサートというのが、2009年6月、読響を振ったR・シュトラウスの「家庭交響曲」だ。

そういうわけで、今回の「アルプス交響曲」は楽しみだった。元々は外国人指揮者(アントニ・ヴィット)が振る予定のプログラムだったが、来日が不可能になり、秋山さんが代理出演。私は、その秋山さんが代わりに振ることが決まってから、この公演のチケットを買ったというわけ。

結果は予想どおり。
シュトラウスらしい絢爛な音楽が展開。音は大きく、まさにアルプスを彷彿とさせるように雄大だった。
それでいて、タクトは相変わらず機能的で堅実(笑)。
これも指揮者の個性というわけだね。

指揮者のタクトが堅実な分、別にそれを補おうとやっていたわけではないと思うが、コンサートマスターの崔文洙さんのアクションがやたらとデカくて、何だか対照的で笑えた。
コンサートマスターというのは確かにオーケストラのリーダーで、まさにオーケストラの演奏面をリードする役目を担っているわけだが・・・でもあそこまでオーバーにやる必要あるのかねえ。ソリストじゃないんだからさあ。