2021年1月19日 読売日本交響楽団 サントリーホール
指揮 セバスティアン・ヴァイグレ
成田達輝(ヴァイオリン)
R・シュトラウス 交響詩「マクベス」
ハルトマン 葬送協奏曲
ヒンデミット 交響曲「画家マティス」
午後2時の都響に続くダブルヘッダーで、池袋からアークヒルズへ移動。
マチネーのプログラムも良かったが、こちらの読響プロも最高!「この曲が演奏されるのなら、そりゃ何が何でも行かなくっちゃだわな」という、私にとってのキラーコンテンツが2曲も入っている。
交響詩「マクベス」と交響曲「画家マティス」。
ハルトマンはまったく知らない曲だったが、ま、どうでもいい(笑)。とにかく「マクベス」と「画家マティス」なわけである。
私はシュトラウス・マニアであるから、滅多に演奏されない「マクベス」を聴けるのが嬉しくてたまらない。
ていうか、なぜこの曲が滅多にしか演奏されないマイナー作品なのか、まったく理解できない。
「ドン・ファン」や「ツァラトゥストラ」、「死と変容」などがポピュラーとして受け入れられるのなら、「マクベス」だって全然オッケーのはず。
だから、とりあえず聴いてみなって。さあ。ほれ!?
どうよ? めっちゃカッコいいやん?
とにかく食わず嫌いはいかん。
読響の演奏も、これまためっちゃカッコいい。
ヴァイグレが颯爽としたタクトでオーケストラをかき回し、あたかも風雲急を告げるかのような緊迫した音楽を作り上げる。ドラマチックなサウンド。
ヴァイグレ、オペラの叩き上げ指揮者ということで、こうした標題の付いた劇的な作品は得意中の得意なのかもしれない。
「画家マティス」もまったく同様。
ヒンデミットが構想を練ったという創作オペラの素材や断片が盛り込まれているとのことだし、各楽章にも標題が付いている。したがって、アプローチは共通だ。
指揮者の力強いタクトに導かれ、機動的な動きを見せるオーケストラの様は、まるで吹き付ける風をしっかり捉えてこれを推進力に変換する高性能ヨットのよう。
純度の高いハーモニーに支えられた金管楽器のグロリアスな響きは、実に陶酔的だ。
間に挟まれたハルトマンの作品は、「葬送」というタイトルのとおり、前後2曲から一転して悲劇性が強調され、まさに絶叫といった響き。作品に込められた悲痛なメッセージが、狂しいほどに心に迫る。
今回のプログラムについては、どうやら背景にある作曲家とナチスとの関連性をキーワードにして並べた、という見立てがあるようだ。
なるほど、それは確かにそういうことなのかもしれない。
だが私は上記のとおり、「標題」というテーマに基づいた音楽のドラマ化という部分に、今回のヴァイグレの音楽作りのベースや軸を見い出せたような気がする。