指揮 アラン・アルティノグリュ
演出 スヴェン・エリック・ベヒトルフ
イルデブランド・ダルカンジェロ(ドン・ジョヴァンニ)、ルカ・ピサローニ(レポレッロ)、カルメラ・レミージョ(ドンナ・アンナ)、パオロ・ファナーレ(ドン・オッターヴィオ)、レイラ・クレアー(ドンナ・エルヴィーラ)、ヴァレンティーナ・ナフォルリータ(ツェルリーナ)、アレッシオ・アルドゥイーニ(マゼット)、ミカ・カレス(騎士長)
「スヴェン・エリック・ベヒトルフ」と「ウーヴェ・エリック・ラウフェンベルク」・・・。
うーむ・・・いつもどっちがどっちだかわからなくなってしまう。
こうして字を並べれば「エリック」が共通しているだけだが、なぜかなんだか紛らわしいのである。
「ま、どっちがどっちでもいいか・・・」
と、曖昧にしっぱなしにするから、いつになっても紛らわしい(笑)。
当人たちは、「一緒にするんじゃねえ」と怒るかもしれない。
さて、本公演ドン・ジョヴァンニのプロダクションは昨年にプレミエとなり、その時のライブが既に映像にもなっているのだが、演出の評判がよろしくない。
その点が「ブレゲンツ音楽祭に行った方がいいかも」と判断した理由の一つなのだが、こうして実際に観てみると、そんなにひどいとは思わないが「確かにこれじゃあ、評判は得られないわなあ・・」であった。
要するに、普通なのである。普通どころか、「そのアイデア、全然新しくないんですけど・・」って感じなのである。
舞台をホテル内のロビーに設定。そこは様々な人が行き交う場であり、旅行者、宿泊者、従業員といった人物を役に当てはめていく。
クライマックスの大団円の場では、ドン・ジョヴァンニは生き返って再び女性を追いかけ回す。こうして悪行は収まらず、「○○は死んでも直らないのさ」でちゃんちゃん。
うーーーん、新しくない(笑)。
そんな演出はどうでもよくて、ここで傑出した仕事をしたのが指揮者アルティノグリュ、そしてそれに応えたウィーン・フィル。
ピットから届いた音楽で、この舞台は救われた。練られたアンサンブル、爽快なテンポ、優雅かつ軽妙な語り口。改めて「モーツァルトは天才だ」と気付かされるほど、作曲家の真髄をストレートに伝える潔さ。
アルティノグリュ、いい指揮者だ!!!
この指揮者、ヨーロッパではクルレンツィスと並び、「The Next!」と称えられているのだが、その本領を見た! ますます目が離せない。これはいずれ「モネ」に行かねばなるまい。
ウィーン・フィルが、これまた絶品。ザルツブルク音楽祭のドン・ジョヴァンニは、5年前にもミンコフスキの指揮で鑑賞しているが、その時も鮮烈だった。月並みだが、やっぱりウィーン・フィルのモーツァルトは最高なのだ。
歌手では、ダルカンジェロが素晴らしいのは、もう当たり前というか、先刻承知。彼のような超一流歌手とこれから世界に羽ばたこうとする若手達が等身大で音楽に徹すると、モーツァルトらしいアンサンブルが生まれる。このように各歌手の実力を融合させる統率力も、やっぱり指揮者の力なのだなあと実感した。
以上で、旅程はすべて終了。
きっと私とほぼ同じ公演を観てこられたのでしょうね。お疲れ様でした。
ところでそのツアー、いったい総額おいくらかかりました??