2014年5月2日 ライン・ドイツ・オペラ デュッセルドルフ
ベッリーニ ノルマ
指揮 ジョルダーノ・ベリンカンピ
演出 ヴェルナー・シュレーター
かつて、日本ではハンブルク、ケルン、ベルリン・ドイツ・オペラ、コーミッシェ・オーパーなどといった実力あるドイツ中堅歌劇場の来日公演が度々あった。今でも超一流の歌劇場はNBSさんが招聘してくれるが、それ以外となると近年は東欧などからの出稼ぎ公演ばかりが目に付き、いささか寂しいと感じる昨今である。
デュッセルドルフとデュイスブルクの二都市を本拠にするこのライン・ドイツ・オペラも、日本に来たことがある。1994年だった。私もコロがタイトルロールを務めたローエングリンを観に行った。内容はほとんど思い出せないのだが・・・。どなたか行かれた方いらっしゃいますか?
さて、当地の劇場であるが、客席キャパシティはだいたい1300くらい。これはザクセン州立歌劇場やベルリン州立歌劇場、フランクフルト・オペラなどとほぼ同等。ミュンヘンやバーデン・バーデンなどを除き、ドイツの劇場は実はどこもそんなに大きくない。レパートリーシステムを採用しているので、数日滞在すれば複数の演目を鑑賞することが可能だ。チケット料金も安く、50ユーロも出せば十分に良い席を確保することが出来る。
この日出演したキャストは、私は誰一人知らなかった。大半の人は劇場の専属契約ソリストなのだと思う。ということは、地元の常連客にとっては馴染みの人ばかりということかもしれない。歌唱のレベルは十分に満足できるものだった。スター歌手は滅多に出演しなくてもオペラが身近にある、ただそれだけで羨ましい。
演出的には、ドイツ全般で見られるような、なんだかよく分からないモダン演出だった。
上の写真のとおり、終始舞台の中央に檻が置かれていて、中に数人の子供たち(物語に登場するノルマの子供ではない)が佇みながら、物語の進行を眺めている。閉じ込められているわけだが、特段虐待されている様子も見られない。いったいこれは何を表しているのだろう?
あえて解釈すれば、ローマに実行支配されているガリア地方の人々の抑圧と捉えることも可能かもしれないが、だったらなぜ子供なのか。意味不明。そのガリア地方の人々が、当時の衣装を着ている人がいるかと思えば、現代服を着用している人もいて、これまた意味不明。何か普遍的な意味を含んでいるのか?
あのさー、演出家さんよ。何らかの意図をもって舞台を創っているのは分かった。でもさ、だったら観ている人に分かるようにしなければ。伝わらなければ意味ないのである。でしょ?
とはいえ、ベルカントオペラの傑作中の傑作、宝石のように美しいノルマを鑑賞できた喜びは大きかった。名曲なのに日本ではなかなか上演されないこの作品を十分に堪能することができた。旅行初日は時差ボケで睡魔に襲われやすいのだが、この日はそういうこともほとんどなかった。