デュッセルドルフは観光的に見どころがあまりない街だと言われているらしいが、本当だろうか。
確かに観光バスが止まりそうなポイントというのはほとんどないかもしれない。ガイドブックを開いても、大きく紹介されているような場所はなく、記事のページも少ない。
だが、ゆったりと過ごし、ゆっくりと歩き、疲れたら休む、といった大人の旅を好む達人(最近疲れやすいんだよな、オレ・・)にとっては、かなりいい街だと思う。
何が素晴らしいか。
とにかく歩いてみよう。
街の中に緑が多いことにすぐに気がつく。メインストリートのケーニヒスアレーは、運河の両脇に並木が続き、そこに高級ブティックが軒を連ねる。
木々に囲まれた公園内をゆっくり散歩し、森林浴を楽しもう。疲れたら池のほとりのベンチに座り、ぷかぷかと浮いている鴨などの水鳥を眺めよう。
すると、だ。人間をまったく恐れない奴らが池からすたすたと上がって足元にやってくる。本当に、蹴れるくらい近くまでやってくる。
奴らは別に我々を歓迎しているわけでも、楽しませようとしているわけでも、何でもない。目的はひとつ。
「ねえねえ。おやつちょうだい。何かちょうだい。ねえ。」
こちらがくれてやるような物を何も持っていないことが分かると、
「何にもないの?あっそ。」
とショボくれながらまた池に戻っていく。
次に、ライン川のほとりを散歩してみよう。
美しい景色。旅人と一緒に歩いてくれるのは、愛犬を連れているおばちゃんたち、それからまるで散歩のほかには何もすることがなさそうなじいちゃんばあちゃんたち。
若い兄ちゃん姉ちゃんはランニングスーツに身を包み、我々を颯爽と追い越していく。こうしてなんとなく現地人と同化していく気分が味わえるのだ。
さて、と。のどが渇いたので軽く一杯といきますか。
このビールには飲み方がある。200ミリリットルの小さなコップで、次々と杯を空けては追加注文していく。一杯だけで終わらないことは店員さんも先刻承知で、コップが空になっている客の目配せに余念がない。おかげで、飲みたいけど待たされる、ということがほとんどないのが素晴らしい。店員は客が何杯飲んだか分かるように、コースターに「一杯目、二杯目・・・」と鉛筆で印をつけていく。昔からの伝統的なやり方なのだろう。
ほろ酔いでいい気分になってきたら、勢いで現代美術鑑賞にチャレンジ。ドイツ国内でも屈指と評判のK20州立美術館を訪れて、しばし不思議な空間に身を委ねよう。
なお、19世紀以前の作品を鑑賞したいのであれば、クンスト・パラスト美術館があるので、そちらへ。この美術館に向かう途中に、デュッセルドルフ交響楽団の本拠地ホール、トーンハレがある。次回はここでコンサート鑑賞だな。
ほらね? 良い街でしょ??