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祝!ウィーン国立歌劇場公演開幕

 ウィーン国立歌劇場の日本公演が幕を開けた。私は今週金曜日のサロメが初日で、三演目すべてを鑑賞する。
 
 直前になってウェルザー・メストの来日がキャンセルになったのは残念なことだった。彼が音楽監督であり、音楽監督こそが劇場の顔なわけだから。
 実際、ウェルザー・メストが指揮したウィーンでの公演を2回観たが、いずれもピットの中のオケをこれでもかというくらい流麗に鳴らしていた。彼が来日していたら、サロメはきっと評判を呼んだことだろう。
 
 だからといって、代わりを務めるP・シュナイダーも、まったく遜色がない。代役としてこれ以上ない指揮者なので、期待値を落とさずに臨もうと思う。
 
 ウィーンのサロメは、私にとって生涯忘れることの出来ない思い出の舞台である。
 1997年9月、私は現地で鑑賞した。(一緒に行ったNさん!覚えているかい!?)
 とにかくサロメを見るためにウィーンに行ったと言っても過言ではない。なんといっても私の女神、今は亡きヒルデガルド・ベーレンスがタイトルロールを務めたのだ。私は最初から最後までずっとベーレンスの歌に痺れっぱなし、彼女が右に動けば右に視線を移し、左に動けば左にと、ひたすら彼女を追いかけていたのだが、同時にウィーン世紀末のユーゲントシュティール様式を彷彿させる幽玄的な舞台(おっと、シャレじゃないぜ)にも魅了された。
 
 あれから15年・・・。その間私はオペラ道を邁進し、それにつれて徐々に現代的な演出を好むようになってきた。今、あのクラシカルな舞台を改めて見て、「古臭い」と思うのか、「依然として魅力的な幻想舞台」と思うのか、果たして自分がどう感じるかとても楽しみである。
 
 主役のサロメを歌うグン・ブリット・バークミンも花マル期待大。
 私は、2008年12月にプラハ国民劇場で彼女が歌うマクロプロス事件のエミリア・マルティを聴いたが、とても鮮烈だった。当時、彼女のことは全く知らなかったが、私ははっきりと確かな将来性を感じ取っていた。だから、是非とも大化けしてもらいたいものである。(無名の歌手をめざとく見つけ、その後、その歌手のキャリアが開花すると、なんとなく自分が手塩にかけたみたいで嬉しいよね(笑))
 
 あとの二つの演目も素晴らしい歌手が揃って、こちらもきっと華やかな歌の饗宴が繰り広げられることだろう。今回、演出についてああだこうだと頭を巡らせることはなさそうなので(それはそれで少し残念ではあるが)、とにかく超一流歌手の揃い踏みと、官能的なウィーン・フィルの音色に是非酔いたいと思う。