指揮 ロリン・マゼール
ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン)
グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
スクリャービン 法悦の詩
「やっぱりダメだったか? でもそんなの予想どおりだろ?」
そうではない。「ダメ」ではなかったのだ。良かったのだ。
「良かったのなら、それでいいじゃんか。」
ツッコミが来そうだ。私は首を横に振る。
「いや、それじゃ困るんだよお。」
あのね、こっちはあの気色悪い偏執狂なマゼール節の全開を期待していたのだ。
「なんでそういう変なことするかねえ・・・」
「出たよ、また出たよ、『オレオレ』マゼール・・・」
このようにため息を付き、後ろ指さして「ああ嫌だ。だからマゼールは嫌いだ。」と言いたかったんだよお。
そしたら、普通に「良かった」でやんの。けっ。それじゃつまらんじゃんか。
果たして、マゼールは丸くなってしまったのであろうか??
「20世紀が『巨匠たちの時代』であったことは疑いようがありません。私はこうした栄光の時代が21世紀に失われつつあることを危惧しています。・・・でも人はやはり偉大なる人間に出会いたいし、名演にも触れたいのです。」
「私はストラヴィンスキー、ヒンデミット、ラフマニノフ、シェーンベルクを直接知り、さらにクライスラーやハイフェッツ、ミルシテインとも交流がありました。もちろんトスカニーニの演奏も聴いています。11歳の時にはトスカニーニのために組織されたNBC交響楽団の指揮台にも立っています。偉大なる音楽家を直接知る人も現代では本当に少なくなってきましたから、私にはそうした伝統を伝えていく責任があるのです。」
見よ!!このチョー傲慢な発言!
上記の発言を要約すると、こうなる。
「現代は偉大な巨匠がいなくなっているが、トスカニーニを始めとする数多の伝説的巨匠に認められ、11歳でプロオケを振った天才であるこのオレ様こそが彼らの後継者であり、最後の偉大なる巨匠として君臨すべきなのだ。」
これぞマゼール!よく言った! さあみんな! 扱き下ろそうぜ!
「胸くそ悪い。ああ嫌だ、こういう傲慢なヤツ。だからマゼールは嫌いだ!!」(笑)