クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

次の旅行記のプロローグ 好きな歌手の追っかけから始まった

オペラを長年聴いていれば、好きな歌手、尊敬する歌手というのが出てくるのは当然。
私の場合、若かりし頃、心から敬愛していたのが、今は亡きドイツのソプラノ、ヒルデガルド・ベーレンスだった。

オペラを聴くようになり、オペラの鑑賞作品レパートリーを増やしていくようになり、ついにワーグナーの大作「ニーベルングの指環」に手を染めたちょうどその頃、メト、ウィーン、ミュンヘンなど世界の一流歌劇場でブリュンヒルデを歌っていたのが、ベーレンスだった。
つまり、1980年代から90年代にかけて、ベーレンスはドラマチック・ソプラノの頂点に君臨していた。
R・シュトラウスのオペラが好きになり、ワーグナーのオペラも好きになった自分が、彼女にハマり、傾倒し、やがて女神のごとく崇めるようになったのは、自然の成り行きだったと思う。

オペラを観るために海外に出かけるようになると、今度は彼女が出演するオペラの公演をどうしても観たくなる。これもまた、自然の成り行き。
1991年10月にミュンヘンで「エレクトラ」を、1996年にウィーンで「ワルキューレ」と「神々の黄昏」のブリュンヒルデを現地で観た私は、それで満足どころか、ますます彼女が出演するオペラを観たいと思い、次の機会を虎視眈々と狙った。
次は何だ? 何を聴きたい? 何を聴くべき?
ゾルデか? それともサロメか?

ベーレンスの出世作と言えば、サロメだ。
カラヤンに見いだされて出演したザルツブルク音楽祭サロメは伝説である。この時、世界は「理想のサロメが出現した!」と驚嘆し、センセーショナルに沸いた。

そうだ、サロメだ。ベーレンスのサロメを聴きたい。どこかでその機会はないか?

願い、思いというのは、通じるものだ。
ブリュンヒルデを聴いた翌年の1997年ウィーン国立歌劇場の9月公演ラインナップ。その中に、ベーレンスが出演するサロメがあった。

これは・・・行くしかない!!
実を言うと、この頃、私は非常に忙しい部署に配属されていて、それこそ休む暇などないくらいだった。
だが、そんなことは知ったことか。このチャンスは絶対に逃すべきではない。行こう。行かなくては。仕事なんか上司と同僚に押し付けてしまえ。

この時の自分は、あたかも熱に浮かされているかのようだった。