クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2008/10/31 新国立 リゴレット

2008年10月31日 新国立劇場
ヴェルディ リゴレット
指揮 ダニエレ・カッレガーリ
演出 アルベルト・ファッシーニ
ラード・アタネッリ(リゴレット)、アニック・マシス(ジルダ)、シャルヴァ・ムケリア(マントヴァ公爵)、長谷川顯(スパラフチーレ)他


 安心しリラックスして観られた舞台だった。演出がオーソドックスだったから。指揮がやたらな自己主張をすることなく歌手のサポート役に徹していたから。そして何よりヴェルディの音楽がわかりやすく心地よいものだったから。

 ただやはり、演出は前時代的な印象を拭いきれない。写実的な舞台で美しいが、観客というものは、そこに物がなくても想像力で補って「ある」と見ることが出来る。宮殿だからといって豪華な装飾物を用意しなければならないということはないのだ。ましてやそれを絵で描いて表すなんてだめだ。人物の動かし方も類型的。棒立ちも目立つ。そういう意味でも前時代的だ。もっと我々の想像力をかき立てる舞台を作ってほしい。(ファッシーニ演出にそれを求めること自体が無駄なのは知っているが。)

 歌手では、特にリゴレットを歌ったアタネッリは良かったと思う。欲を言えば、怨念、畏怖、娘に対する情などの演技的表現に深みが出れば・・・。(その点、L・ヌッチは最高だが、彼の域に達するのは至難の業だ)
 指揮者カッレガーリは上にも書いたとおり、歌手のブレスまでしっかり感じて寄り添うように支えていたことに好印象を持った。