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2008/11/1 ウィーン国立 フィデリオ

2008年11月1日 ウィーン国立歌劇場 神奈川県民ホール
ベートーヴェン フィデリオ
指揮 小澤征爾
演出 オットー・シェンク
ロバート・ディーン・スミス(フロレスタン)、デボラ・ヴォイト(レオノーレ)、アルベルト・ドーメン(ドン・ピツァロ)、ヴァルター・フィンク(ロッコ)、イルディコ・ライモンディ(マルツェリーネ)他


 第1幕が終わっての感想は「まあまあ」だった。普段は「まあまあ」であればさしたる不満もないのだが、今回は不満だった。
 天下のウィーン国立歌劇場であってもパッとしないイマイチ公演はある。全く聞いたこともない指揮者が振ることもしばしば。年間約300日の稼働を誇っているのだから、そりゃそういう時もありましょう。レアル・マドリードだってクソカス試合で負けることもある。

 ただ、このフィデリオウィーン国立歌劇場にとって特別な演目なはずだ。それに加えて今回の公演は音楽監督の指揮による凱旋引っ越し公演だ。チケット代も目ん玉飛び出るくらい高い。スペシャルであるべきだ。私はスペシャルを断固要求する!責任者出てこい!

 そしたら、なんと、奥からベートーヴェン様が「しようがねえなあ・・」と出てきた(笑)。

「それじゃ、ほれ、これでどうだ」と差し出された音楽。第2幕、レオノーレとドン・ピツァロの緊迫の対決。感激の夫婦の再会。そしてラストの大合唱。抑圧からの解放。歓喜。人間賛歌。
何という高揚!何という圧巻!参った。参りました。

 こうして小澤征爾ベートーヴェン様に救われました。めでたしめでたし。

 オットー・シェンクの演出によるオーソドックスな舞台は、初登場が1970年だというから、かれこれ40年近く保たれていることになる。これはすごい。今、ドイツあたりはどこもかしこも現代演出の華盛りだが、その点ウィーンは新しい物を採り入れつつも、良い物はしっかり残していて、そのバランスがよい。やはり伝統と格式がそんじょそこらとは違うのだろう。

 圧巻の大合唱団にはかなりの数の日本人が混ざっていた。藤原歌劇団の協力によるらしい。藤原にとっても、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の伴奏による小澤の指揮で歌えたのは素晴らしい体験で良かったのでは。