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2010/5/2 仏サッカー・リーグアン モンペリエ対リヨン

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 =モンペリエ
 昨シーズンは2部で、今季に1部昇格。普通、昇格チームは下位をさまようのが常。ところがなんと、モンペリエは序盤からずっと上位に留まり、首位を虎視眈々と狙って関係者、ファンを驚かせた。さすがに終盤きつくなってきたが、観戦日時点でまだ5位に食らいついている。十分に欧州リーグ(チャンピオンズリーグヨーロッパリーグ)出場を狙える位置。選手もファンも鼻息が荒く、モチベーションは高い。
 
 =オリンピック・リヨン
 ここ数年ほど、常にフランスリーグの王者だった。この試合の数日前に、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝を戦った。残念ながら、古豪バイエルン・ミュンヘンの前に散ったが、フランスのチームがCLのベスト4に進出したのはこれが初めて。快挙を成し遂げたと言っていい。観戦日時点で国内リーグ戦第4位。CL決勝進出を逃したショックはあろう。だが、敗戦を引きずるわけにはいかない。リーグ戦で更なる上位を目指し、来季のCL出場権を勝ち取るためにも、絶対にここで負けるわけには行かない。

 
 以上の状況による4位と5位の一騎打ち。ビッグマッチである。盛り上がり必至。見逃せない一戦だ。
 またリヨンにはGKロリス、MFトゥララン、FWゴブなどのフランス代表が名を連ねる。スターの活躍を見、フランス代表の実力をチェックするという意味でも注目。
 
 スタジアムへは、モンペリエの街の中心部からトラムを利用し、郊外へ約30分。終点なので間違うことはない。
 どこの国に行っても、スタジアムへ向かう車内は熱気がムンムンだ。普通なら、酒をたらふく飲んで既に出来上がっているヤツらとか、レプリカユニを着込んで戦闘モードに入っているヤツらとかで溢れかえっている・・・はずなのだが・・・ここモンペリエのサポーターは「本当にこれからサッカー観戦するの?」というくらい静か。身なりも、何人かがチームマフラーを巻いているくらいで、ほとんどが普段着だ。おとなしいぞフランス人。もうちょっとはじけてもいいんじゃないのか、フランス人。
 
 だが、スタジアムの中に一歩踏み込むと、そこはまさしく「沸騰!蹴球劇場」。
 選手のウォームアップ段階から、ホームチームに対する大歓声とアウェイチームに対する凄まじいヤジ。
 選手入場の際には、「国内リーグ上位を決めて、欧州リーグに打って出るぞ!」とばかりに人文字を作り、横断幕を掲げる。客席のあちこちでフラッグが振られ、ゴール裏席からは発煙筒が炊かれる。ボルテージは最高潮に。
 
 熱狂!そう、これ!これですよ、私が追い求めているのは!この興奮は、クラシック音楽鑑賞にはない物、決して味わえない物だ。
 
 試合はモンペリエがサポーターの圧倒的な声援の後押しを受け、力任せに前進するが、リヨンの守備が固い。リヨンはじっと待っている。チャンスを待っている。相手の一瞬の隙と綻びが生まれる瞬間を待っている。
 
 0-0の時間が続く。モンペリエが焦れてくる。そして案の定、モンペリエに一瞬の隙と綻びが生まれた。たった一発の素早いカウンター。モンペリエDFのミス。欧州に打って出ようと思うのなら、絶対に犯してはならないミス・・・。後半76分、リヨンが先制、そしてこれが決勝点。おそらく、これが経験の差というものだろう。
 
 私は試合直後の混乱に巻き込まれないように、スムーズに帰れるように、時計の針が90分にさしかかったところで素早く席を立った。試合はまだ終わっていない。おそらくロスタイムがまだ3、4分あるはずだ。
 もちろん、サッカーは何が起こるか分からない。だが、この試合に限って言えば、この後何かが起こるようには見えなかった。
 周りには、私と同じように席を立ち、早々に帰路につこうとするサポーターがこれまた非常に多かった・・・。