2009年6月15日 読売日本交響楽団 定期演奏会
指揮 秋山和慶
三浦友理枝(ピアノ)
R・シュトラウス 組曲「町人貴族」
R・シュトラウス 家庭交響曲
ノーマークの公演から驚くほどの名演が生まれた!
どれくらいノーマークだったかというと、会場に行って「あれ?今日は東響じゃないんだっけ?」って気付き、同じく会場で、一曲目が「あ、町人貴族だったんだ!」って気付いたくらい。
秋山さんと言えば東響、東響と言えば秋山さん。読響との共演なんて「あらま、めずらしい」と思ったら、なんと30年ぶりなんだって!
その秋山さんだが、どうも「まじめで、手堅くて、面白くない」っていうイメージなんだよな。
まず、見た目(笑)。
風貌は大学教授。顔はやさしく目は笑っているが、冗談は言わなそう。きっと話す言葉は理路整然に違いない。(いや、あくまでもイメージですから)
次に、指揮ぶり。
いかにもメソッドどおりの振り方。3拍子は一、二、三、4拍子は一、二、三、四、5拍子は・・・もういいか。
コンチェルトの伴奏で振ってくれると、ソリストは演奏しやすいんではないでしょうか?かっちりと支えてくれそう。実際のところ、これまで私が行った公演記録データベースで拾ってみると、コンチェルトがメインの公演が結構多かった。やっぱり。
今回の公演も「秋山さんだから」と言うより、単にシュトラウスの「家庭交響曲」が聴きたかっただけ。ということで、上に書いたとおり「ノーマーク」だったわけだ。
そしたら!!
いや、たまげた。ぶっとい音楽だった。あたかも音が束になってかかってくるかのようだった。読響のプレーヤーたちは、まるで大巨匠に一丸となってくらいつくかのような献身ぶりだ。30年ぶりの出会いはかくもドラマチックなものなのか!?
秋山さんにとって、さぞや会心の出来だったに違いない。万感胸に来る物があったかもしれない。
だけど、観客からもオケプレーヤーからも万雷の拍手を浴びながら、そこにあるのはいつもの「やさしい顔」と「笑った目」だった。見た目だけは今回もイメージそのままだったが、音楽の中味で私の評価は確実に上がりました。