クラシック、オペラの粋を極める!

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2009/6/16 新日本フィル

2009年6月16日 新日本フィルハーモニー交響楽団 サントリーホール
指揮 クリスティアン・アルミンク
市原愛(ソプラノ)、丸山滋(ピアノ)
アルマ・マーラー 歌曲「夜の光」
グスタフ・マーラー 交響曲第9番


 マーラー9番。いわゆる「第9のジンクス」に怯え、「大地の歌」を書いたり、すぐに10番に取り掛かったりしながら、結局運命に抗えなかったマーラー白鳥の歌
 老境の悟りと祈り、病の苦しみ、生への執着、臨終による解放、天国の憧憬、永遠・・・。全てが詰まった彼の総決算であるこの交響曲は、これら全てを手中に出来る老巨匠のタクトで聴かなければならない。

バーンスタインの叫びを聴くがよい。
ワルターの格調にひれ伏せ。
カラヤンの最後の瞬きを聴き逃すな。
ジュリーニの孤高を見上げよ。
クレンペラーの神託を畏れよ。

 アバドだぁ??マゼールぅ??クズだ、クズ。そんな青二才のCDなんか捨てちまえ。

 この曲にはまっていた20代の頃の私のマラ9観は、以上こんな感じでした(笑)。軽さ厳禁。息も詰まるかのような重苦しさが必須だ。


 今は違う。
 いろいろなマーラーがあっていい。
 壮絶なマーラーもいいだろう。思い悩んだマーラーもいいだろう。
 だが青春のマーラーがあってもいい。健全なマーラー、颯爽たるマーラーだっていい。多様な解釈こそが音楽の世界と自分の人生の幅を広げるのだ。

 今月、二つのマラ9が東京で上演される。大植英次とアルミンク。私は躊躇なくアルミンクを選択した。アルミンクならきっと切れ味の鋭い颯爽としたマーラーが聴けると思ったからだ。(大植はたぶん、ひたすら内省的なマーラーになると推測する。)

 そのアルミンクのマラ9、期待どおり、予想どおり、そのまんまだった。
 足取りは軽く、しなやかな躍動感があった。若さゆえの推進力があり、端正さがあった。

 粘着質のマーラーが聴きたかった人は、またの機会に出直したらいい。そういう演奏はいつでも聴ける。
 それにしても、かっこいいぞアルミンク。なかなか聴けないぜ、こういうマーラー