クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2009/3/19 マドリード王立歌劇場

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2009年3月19日 マドリード王立歌劇場
ワーグナー タンホイザー  ロサンジェルス歌劇場貸出プロダクション
指揮 ヘスス・ロペス・コボス
演出 イアン・ジャッジ
ギュンター・グロイスベック(ヘルマン)、ロバート・ギャンビルタンホイザー)、ロマン・トレケル(ヴォルフラム)、フェリペ・ボウ(ビテロルフ)、エディット・ハッラー(エリザベート)、アンナ・カタリーナ・ベーンケ(ヴェーヌス)他


 この出演者陣でBキャストなのだ。AにはP・ザイフェルトとP・M・シュニッツェルの夫妻やリオバ・ブラウンなどが名を連ねる。AとB合わせてこれだけのビッグネームを揃えられるテアトロ・レアル、恐るべし。
 もちろんザイフェルトのタイトルロールを聴ければ最高だっただろう。しかし、E・ハッラーのエリザベートは聴き物だ。既にバイロイトの常連。新国立劇場の魔弾の射手では大変瑞々しく美しいアガーテを歌って日本のファンにその名を轟かせた。その時、私もこのニュースターの才能に強い印象を抱き、今後の活躍に大いなる期待を寄せた一人だ。この日のエリザベートも実に素晴らしく、まるでバラのような芳香が劇場内に漂った。カーテンコールの観客の喝采も凄く、本人もこれに対して驚きと感激の表情を見せていた。

 対照的に株を下げたのは主役のギャンビル。世界中でこの役を歌い、日本でもドレスデンミュンヘンで来日して歌っており、実力は折り紙つきのはず。しかしさえない。どうしちゃったのだろう??

 指揮のヘスス・ロペス・コボスは手堅いコントロールで盤石。歌手からもオケからも、そして聴衆からも信頼の厚さが感じられた。それにしても久々に観たコボスはすっかり髪も白くなり、薄くなって、ありゃまあ老けてしまったって感じ(笑)。

 演出もなかなか良かった。大きな読替もなく、どちらかといえば穏当なものであったが、ヴェーヌスベルグの場面は本物の乱交パーティーで、裸の男女が組んずほぐれつ、性描写も露骨でかなりやばかった。ま、おかげでこちらの目も爛々として時差ぼけによる睡魔に襲われなくて助かったけどね(笑)。

 面白いなと思ったのは、ヴェーヌスベルグに行こうとするタンホイザーを引き留めて救うため、エリザベートの犠牲だけではなく、ヴォルフラムまでもが彼の身代わりを引き受け、ヴェーヌスに禁断の宮に連れ去られる、という設定。一つの解釈として「へえ~なるほど」と思ったが、しかしなあ、タンホイザーってそれほどの犠牲を払ってやるほどの人物かよ??ほっときゃいいんじゃないの??

 テアトロ・レアルは由緒ある名門劇場であるが、大改修を経ているだけあって綺麗だし、機能的だ。馬蹄形の劇場だとサイドの座席は位置的にステージの死角が生じてしまうが、なんとこの劇場、上階層にそれを補うためのスクリーンが設置してある。これはさすが。ホワイエにある休憩の間はまるで王宮の中のサロンのようだ(上の写真3番目)。

 ちなみに、マドリード市内の観光ポイントに、観光地名を表示する看板が設置されているが、なんと、スペイン語、英語に次いで日本語が表記されている(上の写真2番目)。日本人観光客がスペインでそれほどまでの地位にあるとはあまり思えないのだが・・・。驚きだ。