2009年3月14日 新国立劇場オペラ研修所 新国立劇場中劇場
プーランク カルメル派修道女の会話
指揮 ジェローム・カルタンバック
演出 ロベール・フォルチューヌ
木村眞理子(ブランシュ)、茂垣裕子(マダムクロワッシー)、山口清子(コンスタンス)、塩崎めぐみ(マリー)他
新人研修生の発表会だと侮ってはいけない。舞台装置に金がかかっていないことを除けば本格的なオペラ公演であった。歌唱もしっかりと安定していたので落ち着いて聴けたし、演技も素晴らしかった。難しいフランス語もよく対応していた。
だが、何よりも素晴らしいのはプーランクの音楽そのものだろう。革命さなかの混乱、修道女たちの敬虔な祈り、動揺、不安、おびえ・・・様々な感情の揺れ動きが全て音楽に注ぎ込められている。
そして極めつけが最後の場面「サルヴァ・レジーナ」。
断頭台に向かい、ギロチンの落ちる音とともに修道女がバタバタと倒れ、一人また一人と声が失われていく・・・こんなにも恐ろしく、また心臓を締め付けられるオペラが他にあるだろうか?私はこの場面、何度聴いても震えが起きる。‘カルメルダイヤログ’は現代オペラ作品の最高傑作の一つと言っても過言ではないだろう。
噂によると、今秋に藤原歌劇団の公演で、この素晴らしいオペラをもう一度聴けるチャンスがあるらしい。詳細発表を期待して待とう。