クラシック、オペラの粋を極める!

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2009/1/29 フランクフルト アラベッラ

2009年1月29日 フランクフルトオペラ
R・シュトラウス アラベッラ
指揮 セバスチャン・ヴァイグレ
演出 クリストフ・ロイ
アンネ・シュヴァンネヴィルムス(アラベッラ)、ブリッタ・ストールマイスター(ズデンカ)、ロバート・ヘイワード(マンドリカ)、リチャード・コックス(マッテオ)他


 昨年12月末のウィーンに続き、またもクリストフ・ロイの演出を見る。昨年のインテルメッツォは、もう何がなんだか分からないシュールでシニカルなプロダクションであったため、今回もがらりとイメージが変わるのでは、と期待半分恐れ半分で臨んだが、以外と「普通」であった。
 ただし、非常に簡素、シンプルな舞台である。ウィーンの豪華なホテルの一室ではない。また、華やかな舞踏会のパーティ会場でもない。演出家はそうした装飾を排し、人間ドラマに徹底的に的を絞っている。

印象的なのは、男の格好をしている実は女性のズテンカ。長い髪をくるめて帽子の中に隠しているが、揺れ動く女心に合わせてその帽子を脱いだりかぶったりして、「女性」と「男性」を行ったり来たりする。

 また、第3幕のアラベッラとマンドリカの言い争いを終始同じ部屋で目撃し、聞いており、自分のせいでとんでもないことになってしまった事に対してオロオロし、青ざめている。
 いよいよ決裂というところで、ズテンカは衆目の前で帽子を脱ぎ、服やズボンを脱ぎ、「私は女性。全ては私のせい。」と告白するのだ。舞台上の登場人物だけでなく、全ての観衆の目が釘付けとなった。素晴らしい解釈であり、唸った。

 残念だったのは、通常、全ての事情を了解してアラベッラからズテンカに切り替えるマッテオが、怒って退席してしまい、和解に至らなかったこと。これではズデンカが救われず、かわいそうだ。ズテンカは幸せになって物語が終わって欲しいものだ。

 歌手では、アラベッラを歌ったシュヴァンネヴィルムスが圧倒的。日本でもザクセン州立歌劇場(ドレスデン)で来日し、素晴らしい元帥夫人を歌った。ひょっとすると、今後アンゲラ・デノケに迫る存在になるかもしれない。

 観客の反応もすこぶる良かった。感動の一夜であった。