クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

アンゲラ・デノケ

 3月4日(日)午前0時20分(3月3日の深夜)に、NHK-BSのプレミアムシアターで、2011年ザルツブルク音楽祭からヤナーチェク「マクロプロス事件」の中継録画を放送する。指揮エサ・ペッカ・サロネン管弦楽ウィーン・フィルハーモニー、演出クリストフ・マルターラーの新演出プロダクションである。
 
 BSが視聴可能なオペラファンの方は、是非是非ご覧になっていただきたい。
 
 演出は一癖も二癖もあるので好みが分かれるだろうが、最大のポイントは、ドイツのソプラノ、アンゲラ・デノケが主役エミリア・マルティを演じていることだ。
 
 現在世界最高の歌姫と言えば、人気のあるネトレプコフリットリなどが挙げられると思うが、私のイチオシは何と言ってもデノケ。大変残念なことに彼女は日本に来たことが一度もないので、彼女の素晴らしさ、偉大さについてご存じない方も多いかもしれない。でも、彼女が出演するオペラを見たら、瞬く間に虜になってしまうこと間違いなしだ。
 
 最大の魅力は、歌にしても演技にしても、全身全霊100%役に入り込むので、舞台から発せられるオーラによって惹きつけられ、やがて魅せられてしまうことだ。彼女が歌い始めると、思わず体が前に傾く。歌と演技が完全に一体化するため、彼女が演じる登場人物の人間像にどんどんと吸い込まれていく。その結果、大げさではなく、他に出演者がいるのに彼女しか見えなくなってしまうことだってある。
 
 歌も実に素晴らしい。声は豊潤で瑞々しさを湛えており、なおかつ芯があって強靭である。主に、ワーグナーやR・シュトラウスを始めとするドイツ物、ヤナーチェク、ロシア物などを得意としているが、面白いのはイタリア物には完全にそっぽを向いていることだ。何かの記事で読んだが、「だって、他に歌う人がいるでしょう。私は、私でしか表現できない役を極めたい。」と語ったとか。その志たるや、実に潔い。
 
 出来ることなら、彼女が出演するオペラを全部見たい。いわゆる「おっかけ」になりたい。でも、それは無理・・・。
2009年にウィーン国立歌劇場でプレミエ上演されたショスタコーヴィチの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」(カテリーナ)は、行きたかったのに行けず地団駄を踏み、発売されたライブCDを聴いて気持ちを鎮めた。
今年4月に同じくウィーン国立歌劇場で上演されるティーレマン指揮の「パルジファル」(クンドリー)も、行きたくて行きたくて仕方がないのに無理で、あろうことか、友人Sクンがウィーンに行ってそれを観るという話を聞いて顔が引き攣り、「チクショー!」と悶絶した。
 
でも、5月のGWでは、フィレンツェ5月音楽祭で上演予定の「ばらの騎士」(元帥夫人)には行こうと思い、チケットを買った。今は、その3ヶ月後の公演までを指折り数えて待っているワタクシである。
 
日本に来てくれないですかねぇー・・・。