クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2019/6/14 東京フィル

2019年6月14日   東京フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮  沼尻竜典
ダニエル・ブレンナ(テノール)、中島郁子(メゾ・ソプラノ)
ベートーヴェン  交響曲第6番 田園
 
 
聴いた場所がP席ということで、マーラーの歌曲を味わうような楽しみ方は最初から無いものと分かっていたが、改めて痛感。
サントリーホールのP席、純粋にオーケストラサウンドを味わうだけなら、決して悪くないと思うし、むしろ席種設定による金額とのコスパを考えれば、お得感さえ漂うエリアだが、残念ながら「歌、声」に関しては、完全にアウトである。もし「歌、声」に期待して会場に足を運ぶと、大きな失望を頂戴することになる。
それを分かっていて、安さを優先してその席を選んでいるわけだから、もちろん諦めるしかない。
 
だが、マーラーという作曲家はすごい。オーケストレーションが巧みで凝りに凝っているため、「歌、声」が聞こえなくても、管弦楽の妙味を堪能することができるのだ。
 
そのためには、とにかく「歌が聞こえねえ」というフラストレーションを絶対に抱えないこと。
そして、ひたすらオーケストラの演奏に集中すること。
大丈夫、そうやって聴いていると、本当にオーケストラだけの作品のように聴こえてくるのだから、不思議である。
 
よくよく考えてみれば、この大地の歌は、仮にS席の真正面の席で聴いたとしても、歌声がオーケストラの巨大な音量に飲み込まれて聞こえなくなることが多々ある。歌手にとって非常に危険な作品なのだ。
 
私は今回ソロのお二人について正当な評価が出来ないのだが、果たしてどうだったのだろう。
 
指揮の沼尻さんについて、一言。
優秀な指揮者であることは素直に認めるし、今回の演奏も良かったと思うが、あまりにも丁寧にタクトを振りすぎという印象である。手取り足取り、一から十までという感じなのだ。
マーラーなんかは、それでもいいと思う。スコアが複雑ですからね。
でも、ベートーヴェンなんかは、もっとどっしり構えた方がいいんじゃないかなあと思う。
指示を与えるのではなく、あえて与えない。
そうすることでオーケストラの自主性を引き出す。
 
野菜や果物の栽培で、水分を過剰に与えるのではなく、調整し、時にあえて与えないことで、野菜や果物が自ら旨味を凝縮させるというやり方があるという。それと同じ。
 
すみません、またまた偉そうなこと言っちゃって。

 

なんせP席なもんで、タクトも表情も、その一挙手一投足が全部見えちゃうのよ。