2019年1月24日 新日本フィルハーモニー交響楽団 サントリーホール
指揮 ヤン・パスカル・トルトゥリエ
クシシュトフ・ヤヴウォンスキ(ピアノ)
ショパン ピアノ協奏曲第2番
日本でのブーニン現象に火を付けたと言われるNHKのコンクール実録ドキュメンタリー番組。これに、若き挑戦者ヤヴウォンスキも登場している。彼は苦学生だったようで、番組内のインタビューで「高価なピアノを持っていなくて、普段は音程の悪い酷い楽器で練習している。」と正直に告白していた。
ブーニンの影に隠れたが、母国の世界的コンクール第3位で、ヤヴウォンスキの人生は一変したことだろう。脚光を浴びただろうが、ポーランド出身ということで、本人が望む望まないに関わらず「ショパン弾き」のレッテルが当然のごとく貼られ、伝道者の役目を背負わされる。そうやって、今日に至ったに違いない。
だが、実際、彼のショパンは素晴らしかった。
長年のキャリアの為せる業だと思うが、音楽が変に誇張されることなく、謙虚で、実に自然体なのだ。
で、その自然体な演奏が、ヤヴウォンスキの人柄そのものなのだろうなと感じる。彼の演奏を聴いていると、きっとショパン本人も、誠実で純真な作曲家であるに違いないと感じる。
同様にルービンシュタインも、CDなどで聴いて、やはり自然体な印象を受ける。
もしこれが同郷同胞ゆえの特徴なのだとしたら、それはやっぱりポーランド流の絶対的な強みなのだろう。伝統は継承されているのだ。
トルトゥリエの伴奏も、同様に素晴らしかった。
どの楽章でも、どの演奏箇所でも、常にピアノが浮かび上がっていた。指揮者が絶妙なバランスでソロを支えていたからだ。最高のコンチェルト指揮者ではないか。
このままコンチェルトがこの日の白眉かと思ったが、メインのチャイコが、これまた絶品だった。
この指揮者、音楽を、スコアを、そしてオーケストラのまとめ上げ方を、よく知っている。造詣が深いなと感じる。
タクトの姿はあまりカッコよくないが、導き出される音楽が素晴らしいので、やっぱり指揮というのはアクションパフォーマンスじゃないんだなあと改めて実感。