指揮 飯森範親
アレクサンダー・ガヴリリュク(ピアノ)
古典交響曲ではアンサンブルが精妙。各パートのバランスがほぼ完璧と言ってよく、指揮者飯森氏の調整がお見事。テンポ、強弱、ニュアンス、どれも絶品でなんとも耳に心地よい。
一転してコンチェルトでは、アンサンブルに四苦八苦。全体を把握しているのは指揮者とコンマスだけで、各パートは自分たちの領分を確保するのに精一杯。
そんな伴奏を物ともせず、一気呵成に弾ききったのがガヴリリュクだ。一夜明けて思い出しても、ガヴリリュクの猛然とした演奏だけが耳に残っていて、なんだか作品を聴いたという印象がない。
本当は、ピアノ協奏曲の作品を聴くことを楽しみにしていたんだけどな。この曲を生で聴くのは何を隠そう初めてだったんだ。
でも、ソリストの圧巻の演奏に舌を巻いて、「すげー、すげー」で終わったとしても、それはそれでいいかもしれない。それもまたコンチェルトの聴き方、楽しみの一つだ。
展覧会の絵では、再びバランスの取れた精妙なアンサンブルが復活して、慶賀の至り(笑)。
やっぱり演奏頻度の問題なのだろうか。
まあそれはともかく、指揮者が「ここはこうしましょう。このような感じにしましょう。」という指示が徹底され、なおかつ浸透していて、わかりやすいったらありゃしない。
ということで、「飯森範親ガイドによる出品絵画の紹介と解説」が見事に完成。展覧会のガイドツアーに参加した聴衆は皆「ほほー。なるほどねー。」と頷き、大満足。