指揮 ウラディーミル・フェドセーエフ
チョ・ソンジン(ピアノ)
ショパン ピアノ協奏曲第1番
ハチャトゥリヤン バレエ組曲ガイーヌより
チャイコフスキー 序曲1812年
後半はまるでおもちゃ箱の中からとっておきの物を取り出して並べたかのよう。こんなにもワクワクするプログラムはなかなかない。しかも指揮者は、こうしたロシア物を振らせたら天下一品、右に並ぶ者なしのフェドセーエフ。
フェドセーエフはこれまでも旧モスクワ放送響などの来日公演で、チャイコやショスタコの交響曲など大曲をメインに据えつつ、アンコールでロシア物の小品を爆演奏して、会場を興奮の坩堝に巻き込むことが何度もあった。時に、アンコール曲がメイン曲を凌駕してしまうほどの感興を呼び起こしてしまうことも。
なので、この公演は「ダナエの愛」と並び、個人的にとても楽しみにしていたものだった。ちょっと早いが、これはフェド・サンタさんからのクリスマスプレゼント。本当に感謝。
心配された体調もどうやら問題ないようで、大いに安心。ダンスのように身体をしなやかにうねらせるタクトも健在で、見ていて嬉しくなる。
改めて聴いてみると、派手さはないが、所々にキラリと光る物を感じさせ、才能の片鱗を見せた。ただし、コンチェルトよりもアンコールの英雄ポロネーズの方が圧倒的に印象的だった。
人によっては有名なコンクール覇者の凱旋演奏こそがメインだったかもしれないが、私にとっては単なる前菜でしかない。魅惑的な後半のプログラムによって、いずれ「前半は何だったっけ?」になってしまうかもしれない。本当に申し訳ないけど、「だって仕方ないでしょ、勘弁してね」って感じ。