クラシック、オペラの粋を極める!

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2016/5/1 ウィーン・フィル

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2016年5月1日   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団   ムジークフェライン大ホール
指揮  ズービン・メータ
シューマン ピアノ協奏曲
 
 
毎年恒例のウィーン・フィル来日公演。ご存じのとおり、今年の指揮者はメータである。さして目新しいコンビでもないし、何気ないように見えるが、実は御年80歳になられたこの指揮者に対し、ウィーン・フィルは特別なセレブレーションを捧げていた。
4月末から5月初めにかけて、私が聴いたこの定期演奏会に加え、特別公演など(80歳お祝いコンサートなんてのもあった)3つの異なるプログラムをメータに任せたのだ。しかも招いたソリストは御大バレンボイム。なんとも豪華である。日本公演では決して実現しない顔ぶれだ。
 
二人が並んで登場した。壮観の一言に尽きる。クラシック界における巨匠たち。彼らの協演となれば、会場は当然湧き、熱気が漂う。
 
コンチェルトにおけるメータは、盟友とも言うべきソリストに敬意を表しているのか、最大限の自由を与えている。本当はメータのコンサートなのに、目立とうとせず裏方に徹する姿がなんとも奥ゆかしい。
 
こうした時、「いえいえ、指揮者であるあなたこそ、どうぞ」などと譲るほど、このソリストは謙虚ではない。
さすがはバレンボイム、実に尊大である。力強い打鍵で演奏を終始リード。正直に言うと、かなり荒っぽい。だが、時にロマンチックなしなやかさが聞こえるこの曲が、結果的に男らしく勇壮で、かっこいい仕上がりとなり、逆に新鮮だった。
 
演奏終了後に沸き起こった熱狂的ブラヴォー。再び巨匠二人がガッチリ握手。抱き合い、腕を組んでカーテンコールに応えるその様は、やっぱり壮観の一言。すごいなあ・・・。
 
メインのブルックナー
ようやくメータの出番かと思いきや、ここで本領を発揮し主張を始めたのは、今度はオーケストラ(笑)。
もうね、ブルックナーの演奏はやっぱりウィーン・フィルに限るのである!彼らはこの作曲家の交響曲の鳴らせ方、響かせ方を熟知している。特にここ楽友協会ホールにおいて。とにかく美しい!
この魅惑の響きの鍵を握っているのは、おそらくオルガンの真下に横一線に並ぶコントラバス陣ではなかろうか。彼らがブルックナーサウンドの神秘を司っていると言っても過言ではない。ヴァイオリンも管楽器も、彼らの上に乗っかっているだけなのだ。
 
それにしてもメータは近年、オーケストラドライブに味が出るようになった。とにかく自然体なのだ。タクトが描く弧がとてもなめらかで、優雅。決して力づくで引っ張ろうとしない。
ていうか、やっぱりそれはウィーン・フィルだからこそなのかも・・・。
 
この秋、彼らのブル7を日本でも聴くことが出来る。私は「ここで聴ければもう十分」と、チケットは買わないことにしているが、是非一人でも多く円熟の極みに達した80歳のメータを体験してほしい。