2018年3月14日 ニューヨーク・フィルハーモニック サントリーホール
指揮 ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
五嶋龍(ヴァイオリン)
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲
昔のニューヨーク・フィルハーモニック - バーンスタインやメータらが指揮していた頃の録音を聴くと、音がでかくて、ギラギラして、ヴィブラートをぐにゃぐにゃかけて、やたら威張っているような音で、そんなニューヨーク・フィルハーモニックが嫌いだった。
その後のニューヨーク・フィルハーモニック - マズアやマゼールが指揮していた頃の生公演を聴くと、なんだか節操がなくて、どんな音楽を目指しているんだかよく分からなくて、そんなニューヨーク・フィルハーモニックも嫌いだった。
つまり、私はニューヨーク・フィルハーモニックが昔から嫌いだった。
NYフィルは、排気量も車体もでかいが、なんだかポンコツな昔のアメ車のイメージそのものだった。
ひょっとすると、この日、この公演は、記念すべき日かもしれない。
上に書いたようなネガティブなイメージが払拭された転換日になったかもしれない。
相変わらず音はでかい。
だが、性能に優れ、モダンで機能的でスポーティな美しさ。これが今現在のNYフィルだ。
メンバーが少しずつ入れ替わり、優秀な奏者が揃ってきたからだろうか。
ズヴェーデンの音楽監督就任はこれからだから、指揮者が積み上げた指導の成果というわけでもないだろう。
それでも、ズヴェーデンのタクトを眺めていると、内面から音楽が溢れていて、それがオーケストラにしっかりと伝わっている印象を受ける。マーラーのような複雑かつ精密なスコアの魅力を余すところなく引き出し、眩いほどの音響だ。各楽器やパートの鳴らせ方が、とても効果的でカッコイイ。
そのカッコよさ、容姿とは正反対で、それが結構面白いんだけど(笑)。
いずれにしても、NYフィルはいい指揮者を得た。これからますます楽しみだ。