クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2022/3/26 東京シティ・フィル

2022年3月26日   東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団   東京オペラシティコンサートホール
指揮  高関健
マーラー  交響曲第9番


高関さんがシティ・フィルの常任指揮者に就任して7年とのことであるが、350回という節目の定期演奏会を迎え、ついに金字塔とも言える演奏を成し遂げたのではないだろうか。コンサートのチラシには「集大成」という言葉が踊っていたが、まさしくそのとおりで、このコンビにおける最高潮というだけでなく、楽団史に刻まれるべき一期一会の決定的名演であったと思う。

もちろんそれは、集大成に相応しい作品を選択した必然の結果でもある。
マラ9は、クラシックのすべての作品の中でも、頂点に君臨する傑作だ。そこに挑むためには、指揮者もオーケストラ奏者も、入念な準備と100%のパフォーマンス発揮が必須となる。
で、指揮者とオーケストラ奏者の双方においてパーフェクトな取組が為されていたことは、一人ひとりの真剣な表情を見、滾々と湧き出る音を聴いて、すぐに分かった。

特に、オーケストラ奏者の皆さんの一音に賭ける執念が凄まじい。技術とか合奏能力とかを超越して、ひたすら音楽に集中する様は、驚嘆の一言であった。

美しかったかといえば、決してそうでもない。精緻であったかといえば、それほどでもない。ことさらに情感に支配されていたわけでもない。
そこにあったのは、渾身の集中力のみ。彼らは己の魂と覇気によってこの難曲を制し、作品に潜む諦念を剥き出しにしたのだ。

そんな彼らの演奏に聴衆は最大限の称賛の意を示した。カーテンコールは感動的だった。そして、奏者の皆さん一人ひとりの表情も達成感、充実感に満ち、幸せそうだった。