クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ゴールデン・ウィークのアメリカ旅行は・・

当然のことながら、中止した。
この状況で行けるはずがないのは、言わずもがな。今や全米の感染者数は二万人越え。国家非常事態宣言が出され、日本政府も渡航自粛要請レベル2に引き上げた。

私が「ゴールデン・ウィーク、厳しいかもな」という気配と不安を感じたのは、こうしたアメリカ国内の蔓延状況を見てからではなく、もう少し前のこと。当初の状況は違っていた。東アジア一帯の感染状況で、日本は世界中から「危ない国の一つ」と見られていた。
トランプ大統領も「中国だけでなく、イタリアや韓国の状況も、そして日本の状況も注視している」と発言。それ故、「いずれ日本は、中国と同様に、アメリカから入国禁止措置を食らうだろう」と予想していた。
つまり、旅行が危ぶまれた原因は、日本にあったのだ。

ところが、まさかのごとく、形成は逆転。感染の爆発的広がりの中心地が、一気に欧米に移転。アメリカは今や、海外からの感染流入を食い止める段階を越えてしまい、国内の蔓延を抑える対策に翻弄される状態に陥っている。
ここに至り、私の思惑は「行きたいけどダメなんだろうな」から、「そんなところに行けるわけないじゃん」へと完全に様変わりした。

先週、航空券をキャンセルした。さてと、次はホテルのキャンセル手続、そう思っていた矢先のことだった。
まず、シカゴのホテルから問い合わせメールが来た。
「直近に、欧州、中国、イランへの渡航歴がありますか? また、アメリカ国内から移動して来る場合、どこの都市から来るのですか?」
回答によっては宿泊をお断りする可能性がある、と。
「いやいや、悪ぃけど行くのやめるから」というメールを返そうと思っていたら、立て続けに今度はニューヨークのホテルからメールが来た。
「ホテル業務の運営に支障が生じたため、申し訳ありませんが、予約をキャンセルさせていただきます。」
ありゃまー、こちらからお断りする前に、先に向こうから断られてしまった・・。

フランスやドイツも、観光を目的としたホテル利用を排除する措置が講じられているようだが、これは本当に異常事態。想像を絶する状況である。非常事態宣言の重大さを物語る一例だ。

鑑賞を予定し、既に購入済だったコンサートやオペラのチケットも、当初、すべてドブ捨てになるものだとばっかり思っていたが、こちらも事態が一変。メトロポリタンオペラとシカゴ・リリック・オペラから、公演中止と払戻しに関する連絡が来た。
本日時点ではまだだが、その他の公演、NYフィルハーモニック、シカゴ響、LAオペラ、フィラデルフィアオペラからも、遅かれ早かれ、同様の流れになるだろう。

それにしても、メトロポリタンオペラによる「オーケストラのメンバー、合唱団員などをレイオフ(一時解雇)し、健康保険の継続を除いて、給与の支払いを3月で打ち切る。」というニュースには、心が痛んだ。アンドラーシュ・シフ公演の鑑賞ブログ記事で、「困難に立ち向かい、打ち勝とう」なんて書いたが、空虚に響くばかり。絶望感に打ちひしがれる。

芸術の危機なんてもんじゃない。世界の危機。人類の危機。
我々は、いったいどうしたらいいのだろう。本当にもはや祈ることしかできないのか?


最後に、幻となったアメリカの鑑賞旅程を記録として残しておきたいので、書き留めておく。
4月24日 ニューヨーク  NYフィル  J・V・ズヴェーデン指揮 マーラー 復活
4月25日 ニューヨーク  メト ①トゥーランドット ②シモン・ボッカネグラ
4月26日 フィラデルフィア  フィラデルフィアオペラ  蝶々夫人
4月27日 シカゴ  シカゴ・リリック  ラインの黄金
4月28日 ニューヨーク  メト  マノン・レスコー
4月29日 シカゴ  シカゴ・リリック  ワルキューレ
4月30日 シカゴ  シカゴ響  ムーティ指揮 ベートーヴェン交響曲4番、7番 他
5月 1日 シカゴ  シカゴ・リリック  ジークフリート
5月 2日 ロサンゼルス  LAオペラ  ペレアスとメリザンド
5月 3日 シカゴ  シカゴ・リリック  神々の黄昏