2015年3月28日 ロスアンジェルス・フィルハーモニック サントリーホール
指揮 グスターヴォ・ドゥダメル
指揮者ドゥダメル。
若さ、容姿、出身といったことによる偏見や食わず嫌いで、これまでその実力を認めたがらない人もいたかもしれないが、さすがにこの演奏を聴いたら脱帽するしかないのではなかろうか。
音楽のツボを的確に突き、スコアの解析度は高く、視界は極めて良好。華美に過ぎず、誇張や虚飾に走らず、剛毅で力強いフォルムを構築。官能的なものや耽美さ、陶酔感にはやや欠けるが、これが彼流のマーラーアプローチだ。
「ああ、お互い分かり合えているんだなあ」と感心していたら、その後に芸術監督の契約延長ニュースを知った。なるほど、そういうことだったのかと思った。
ロスフィル。
月並みではあるけど、うまい。だが、シカゴやニューヨーク、フィラデルフィアといったオーケストラのきらびやかさとは少々違う。輝かしいというより豊麗。豪快さとしなやかさの美しき融合。どんな音楽にも対応できそうな柔軟さ、弾力性も兼ね備えている。特に弦楽器群のスケールの大きな響きは本当に魅力的だ。
彼女を見た瞬間、私は「あれ?」と思った。
どこかで見たことがある。あの演奏姿は絶対に覚えがある。もちろんお顔も。
でも、思い出せない。
前回のロス・フィル公演か? いや違う。
ソリストとしてどこかで聴いたことがあるのか? いやそれも違う。だってヴィオラだよ。そんな機会はほとんどない。
帰宅し、ただちにロス・フィルのHPを閲覧チェック。
すべてが判明した。
現在の清水直子さんの前だったと思う。
これは驚きだった。
と同時に、どこかで見覚えがあったのが間違いではなくてホッとした。