クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2016/5/24 読響

2016年5月24日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮 キリル・カラビッツ
エマニュエル・パユ(フルート)
プロコフィエフ  交響的絵画「夢」
ハチャトゥリアン  フルート協奏曲
 
 
パユのコンチェルトは、さすがに凄みがあった。
なんというか、もはやフルートという楽器の演奏を超え、パユという演奏家そのものの自己表現に到達しているのである。オーバーな形容かもしれないが、その音はフルートではなく、パユ自身の声のよう。音色は本当に多彩で、その中には綺麗に整った箇所がある一方で、荒く、唸っているかのような厳しい箇所もある。
 
おそらくそうした表現は、ものすごく意識的に強調しているのだと思う。フルートは重音を奏でることが出来ない。音量にも限界がある。
そうした制約の中で、いかに人間味溢れる感情表現を打ち出せるか、そこに集中しているのだと思った。
 
あともう一つ、忘れてはいけないのが、彼はオーケストラ・プレーヤーであるということ。
ソリストでありながら、オーケストラとのアンサンブルや掛け合いに神経をとがらせている。そういうのは指揮者に全部任せ、ソロに専念すればいいのに、どうしても気になって仕方がないという感じだ。
演奏終了後のカーテンコールで、活躍したオーケストラパートを、指揮者よりも先にソリストが起立を促そうとする光景なんて見たことない(笑)。でもそういうところが、やっぱりパユらしい。
 
主導権をソリストに完全に握られた前半が終了し、後半のメインは今度こそ指揮者の出番だ。
カラビッツ、熱い指揮者である。
ただし、いわゆるイタリア人的な感情の熱ではなく、マグマのような強固な信念の熱さとでも言おうか。
その熱はオーケストラに十分に伝播し、まるでロシアのオケのように巨大に鳴り響いた。こういう豪壮なプロ5、とても良い。華麗かつ精緻なオーケストレーションが特徴のプロコフィエフだが、彼はロシアの作曲家なのだと改めて認識した。