指揮 アレクサンドル・ラザレフ
イワン・ルージン(ピアノ)
怒涛の爆演。期待どおり。本当に素晴らしい。
2003年3月。ラザレフは客演指揮者として日本フィルを振り、この11番を演奏した。今でもはっきり覚えているが、その時私はひっくり返った。それくらい凄まじい演奏だった。ラザレフという指揮者、日本フィルの高水準の演奏、その両方に驚愕した。
ラザレフが日本フィルの首席指揮者に就任するのは2008年からだが、この時の演奏はオーケストラが「この指揮者の下でやっていきたい」と認識する一つのきっかけだったのではないか。
あれから12年。私はもう驚かない。ラザレフならこれくらいやってくれる。昨年の7番や4番の名演からすれば、むしろ当たり前だとさえ思う。
ただしこの日は、少々粗さが耳に付いた。おそらくラザレフの要求がオーケストラの持つ容量を少しオーバーしてしまったのだと思う。そういうMAXぎりぎりの挑戦も、このコンビの魅力の一つだと思うので、日本フィルは是非とも容量アップに励んでいただきたい。
コンチェルトを弾いたルージン、全く知らないピアニストだったが、非常に良いセンスを持っている。力で押すのではなく、クールでインテリジェンスを感じさせた。プロコフィエフやラフマニノフなどのコンチェルトも是非聴いてみたいと思った。
ところでこのピアノ協奏曲第2番、なかなか演奏されないレアな曲だが、私は好きだ。ルージンの演奏で「知らなかったけど、なかなかいい曲じゃないか!」と感じた人が一人でもいたのなら、タコマニアの私としては嬉しいのだが。