クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2017/11/4 ばらの騎士

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2017年11月4日   ケムニッツ劇場
指揮  フェリックス・ベンダー
演出  パウルエスターハジー
マライケ・シュレーター(元帥夫人)、クリスティアン・シスト(オックス)、ソフィア・マエーノ(オクタヴィアン-歌唱のみ)、トーマス・メーヴェス(ファニナール)、ステフィー・レーマンゾフィー)   他 
 
 
ケムニッツ劇場は、建物の外観は重厚なゴシック様式だが、内部は改築され、現代的な装いとなっている。客席全体はパリのバスティーユ劇場を小型化したような雰囲気。人口約20万人の市民のための劇場としては、かなり上出来で素晴らしい。
 
このようにドイツは、ある程度の人口規模を誇っている都市には、ごく普通に劇場がある。そして、オペラ、コンサート、演劇、ミュージカルなどを自主制作し、芸術と娯楽を市民に提供している。しかも驚くほどの格安で。
もちろん、それだけ多くの税金が投入されているわけだが、ほとんどが単なる貸しホールである日本の市民会館とは、なんたる歴然の差であろうか。
 
今回のばらの騎士だって、かなり本格的な公演である。上演の質は非常に高い。(残念ながら、お客の入りはそれほど良くなかったが)
 
特にオーケストラが素晴らしかった。
ロベルト・シューマンフィルハーモニー』という名称でオケ専としても活動しているらしい。(音楽監督は、ウィーン国立歌劇場にたびたび客演しているスペイン人のギレルモ・ガルシア・カルヴォ。)
とにかく、びっくりするくらい上手くて、驚いた。もちろんドイツの作品だからというのもあるが、シュトラウスらしい芳醇かつ流麗な音色。
 
歌手陣はというと、まあそこそこって感じか。
 
この日、オクタヴィアン役の歌手が急遽変更となった。喉の不調があったのだろう。
しかし、歌わなかったが、降板せずに舞台には登場し、演技のみを行った。実際の歌は代役の歌手が舞台袖に立ち、譜面を見ながら務めた。
 
演技のみのオクタヴィアン役は、もともと歌うはずの歌手なわけだから、すべて音に合わせて口を動かすし、息継ぎも同様だ。なので、まったくと言っていいほど違和感がない。本当に歌っているかのように自然だった。
 
演出について。
元帥夫人マルシャリンの晩年における回顧、という設定だ。
このオペラのテーマは、誰もが知っているとおり、「時の移ろい」である。ならば、この発想、着眼点には一定の説得力がある。
 
しかし、最初から最後まで、常に黙役の老婆がそこにいて、舞台をうろちょろし続けるのが、問題だ。はっきりいって目障り以外の何物でもない。
そうなってくると、せっかく発想に説得力があるのに、その必然性が疑われてしまう。惜しい。もうちょっと何とかならなかったかなあと思った。
 
最後にもう一つ。
このオペラの第一幕に「歌手」が登場するのは、皆さんご存知のとおり。
この歌手がパヴァロッティだった。これはウケた。会場からも笑いが起きていた。
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