2017年7月4日 ハーゲン・カルテット トッパンホール
語れるほどカルテットのコンサートに行っていないが、過去において最も強い衝撃を受けたのが、あの有名な「アルバン・ベルク弦楽四重奏団」。
一人ひとりの技術が高いだけでなく、メンバー全員の技術が均一に拮抗していて、まるで激しい火花を散らすかのような演奏だった。
アルバン・ベルクに比べるとハーゲン・カルテットのアンサンブルが随分と融和的に聴こえるのは、やはり「一人を除いてご兄妹」だからなのだろうか、あるいはそんな先入観を持って聴いているからか。
通常なら旋律の要となる第一ヴァイオリンがリードするはずなのに、このカルテットではチェロのクレメンスさんの深呼吸のような響きに他の楽器が収まっていくような気がするのも、やはりこのカルテットならではである。
もちろん、要所要所では各パートの激しい鳴らし合いが繰り広げられる。圧倒されつつ、「ああ、これが現代屈指と称される4人の演奏なんだな」と実感する。
ものすごく久しぶりに「死と乙女」を聴いたが、この曲、熱情のほとばしりが際立っていて、いわゆるまじめなシューベルトっぽくない素晴らしい曲だと改めて思い知った。ひょっとすると弦楽四重奏曲の中で一番有名な作品かもしれないが、それを最高のアンサンブルで聴く幸せを思わず噛み締めた。
あとは、ヴィオラのヴェロニカさんが昔から変わらず「貴婦人」って感じで素敵な人だなあと思いました(笑)。