クラシック、オペラの粋を極める!

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2021/11/25 ポール・メイエ&カルテット・アマービレ

2021年11月25日  ポール・メイエ&カルテット・アマービレ  東京オペラシティコンサートホール
ポール・メイエ(クラリネット)、カルテット・アマービレ(篠原悠那(1stVn)、北田千尋(2ndVn)、中恵菜(Vla)、笹沼樹(Vc))
モーツァルト  クラリネット五重奏曲
ブラームス  クラリネット五重奏曲


7月に鹿児島に行って初めて聴き、見事なアンサンブルにすっかり魅了されたカルテット・アマービレ。弦楽四重奏の楽しさを今さらながらに教えてもらい、またいつかどこかで聴きたいと思っていたところ、ここに世界的な名手との共演という絶好のチャンスが巡ってきた。
二日前に東京佼成ウインドオーケストラとの共演で、自分がイメージしていたクラリネットサウンドの概念を覆してくれたポール・メイエ。まさに一期一会の公演だ。

プログラムには、個人的に思い入れがあるブラームスクラリネット五重奏曲が入っている。
何を隠そう、私は大学生の時、この曲を弾いたことがあるのだ。

この時クラリネットソロを担ったのは、所属していた大学オーケストラの第一クラリネット奏者だった同級生の女の子。木管楽器群のリーダー的存在だった。その彼女が声を掛けて団内屈指の実力を持つヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの腕利きを揃えると、なぜか大学に入ってからヴァイオリンを始めてたかだか2、3年のこの私をセカンドヴァイオリン・パートとしてメンバーに誘ってくれたのだ。これは嬉しかった。私は大いに意気に感じ、発奮した。
発表の場は、合宿時に開催される団内演奏会という身内向けのものだったが、私は足を引っ張っては申し訳ないと思い、必死に練習したっけ。この時私は、室内楽の楽しさとブラームスの奥深さを確かに発見したのだった・・・。

・・・すまん、個人的なことをツラツラと書いてしまった。つい懐かしさが溢れてしまった。本公演の話に戻そう。

ダイヤモンドのような煌めきの演奏だった。アマービレの実力も、メイエの実力も、共に承知していたのに、完成度の高いアンサンブルに改めて唸った。そして、クラリネットの音色というのは、こんなにも弦楽器と溶け合うのだなと、驚嘆した。

特にゾクゾクしたのが、ピアノあるいはピアニッシモのハーモニーの中から浮かび上がるクラリネットの、朝焼けのような美しい輝きである。

何なのだ、あの神々しい瞬間は!
魔法。絶対に魔法。さもなければ奇跡。

アマービレの皆さんが、メイエの単なる伴奏にならないところもさすが。
もちろん全員がメイエの音に集中しているのだが、演奏しているのはあくまでも五重奏。5つの音がきちんと作品の粒となり、構成力となって、音楽として成立しているのである。だから、聴き手はソロの名人芸と作品そのものの魅力の両方を同時に堪能できたのであった。

室内楽の真髄、そして神秘を体験できた貴重なアフタヌーンだった。