ベッリーニ ノルマ
指揮 フランチェスコ・ランツィッロッタ
演出 粟國 淳
デヴィーア様の日本ラストプロダクションだそうだ。御年を考えれば、確かにそういう時が来てしまったということかもしれない。
こうした時、満を持して臨む究極の役といったら、やはり誰がなんと言おうとノルマなんだろうなと思う。これ以上ベルカントの女王様のラストに相応しい役はないだろう。
これまで可憐な役を美しく優しい声で歌い続けてきたデヴィーアだが、やはりノルマでは相当の貫禄を出していた。彼女の凛とした姿には、長いキャリアをひたすら音楽と舞台に捧げてきた生き様が滲み出ていて、実に神々しかった。
歌唱に関してはもう完全に至高の域。まさに芸術の美そのもの。正座して聴きたいくらいの完成品だった。
今回の公演で素晴らしかったのは、デヴィーアがお見事であるのはまあある意味当然として、他の歌手も、指揮も、演出も、すべてをひっくるめて総合的にパーフェクトだったことである。
特に、指揮者のランツィッロッタは全くのノーマークだったが、作品の魅力、ベルカントオペラの魅力を存分に引き出していて、感服した。ニュアンスの付け方が実にさりげなくて上手。柔らかい伴奏は歌にぴたりと寄り添っている。
ていうか、さ・・・。
藤原に属しているの、もう卒業しちゃいなよ。海外にチャレンジしちゃいなよ。日本にいたって、輝くことなんかできないぜ。この国には舞台芸術の環境が悲しいほどにお寒いんだから。
あなたなら、絶対に海外でも通用する!大丈夫!行けぇ!