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2017/4/9 東京・春・音楽祭(合唱の芸術シリーズ)

2017年4月9日   東京・春・音楽祭 合唱の芸術シリーズvol.4   東京文化会館
指揮  ウルフ・シルマー
合唱  東京オペラシンガーズ
オレナ・トカール(ソプラノ)、ウォリス・ジュンタ(メゾ・ソプラノ)、パトリック・フォーゲル(テノール)、ペーター・シェーネ(バリトン
シューベルト  水上の精霊の歌、6つのドイツ舞曲、ミサ曲第6番
 
 
シューベルトの音楽って、基本的に真面目だと思う。
真面目には真面目の良さがあり、その良さは例えば格調高さだったり、まとまりの良さだったり、予定調和だったり、要は聴く側に安定や落ち着きをもたらす。
 
一方で、真面目は「面白くない」という反面的印象をもたらすこともある。(人間がまさにそうだよね)
音楽においては、時にダークになり、狂気になり、あざけ笑い、悲壮感をもたらしたっていい。それでこその面白さがある。なぜなら、音楽は人間の感情や営みそのものだからだ。
 
シューベルトの音楽には、真面目であるがゆえの「良さ」と「面白くなさ」の両面が内在していると思う。
 
この日のプログラム、前半の二曲は、まあはっきり言って「面白くない」の典型だった。
6つのドイツ舞曲は編曲がウェーベルンだったというのに・・・。
もちろん演奏は良かった。合唱はよく整い、響きは澄み、メロディは心地よかった。だが、作品そのものの魅力はまったく感じなかった。
あ、ごめん、あくまでもわたし個人の感想だからね。
 
一転して、メインのミサ曲は、究極の格調高い音楽が私の感情を大きく揺れ動かした。
なんて厳粛で、崇高で、品格がある音楽だろう。ああ真面目って素晴らしい。真面目万歳、シューベルト万歳。
 
作品に真面目の良さが全面に出る時の、シルマーの音楽づくりって、いい。手堅さにおいて右に出る者はいないくらいの指揮者だから。
東京オペラシンガーズの合唱も、本当に素晴らしい。方向性がピタッと決まっているのだ。それから発音の良さ。日本人コーチによる基礎訓練とドイツ人コーチによる発声技術指導がマッチし、最大限の効果が得られた好例だろう。
 
こういう作品の真価が再発見されるコンサートは最高だ。「こんなにいい曲だったんだ!」という感想が漏れ出るコンサートは、わざわざ足を運んだ甲斐があったというものである。例えプログラム前半が「うーーーん・・・」であったとしても(笑)。