指揮 ウラディーミル・フェドセーエフ
チャイコフスキー 幻想的序曲ロメオとジュリエット、序曲1812年
プロのクラシックコンサートに、苦難を絡めて情や感傷に訴えるドラマをいれないでほしい。「一生懸命」は不要。「ハンディを乗り越え頑張りました」は不要。私が追い求めているのは純粋な音楽の力だ。
この公演に福島県の小学校合唱部が出演すると知って、落胆した。
もちろん、どん底から這い上がり、復興に向けて想像を越えた努力を重ねる被災地の方々には、最大限の敬意を払いたい。そうした懸命の努力の先には、必ずや結実があることを祈ってやまない。
だが、それとこれとは別。
「素人ですけど、ヘタですけど、頑張ってます」をプロフェッショナルな世界に持ち込むのは、プロに対しても、金を払っている人に対しても失礼だ。出演するあなた達だって、同情ではない本当の実力で評価されたいでしょう。
以上が、演奏を聴く前の私の考え。
聴き終えた後の私の感想を言う。
いわき市の小学校合唱部の演奏、素晴らしかった。
言っておくが、お涙頂戴のドラマにやられたわけではない。「ヘタですけど頑張ってます」に心打たれたわけではない。
純粋に、演奏に感動したのだ。技術的にレベルが高く、プロ公演としての要求を満たし、演奏にしっかりとハマっていたのだ。
だから拍手を送った。拍手に値すると思ったから拍手した。同情なんかしていないし、その必要もなかった。合唱部の皆さん、あなた達は実力で聴衆を感動させたのだ。
それにしても、合唱付きの1812年、いいねえ。やっぱり歌というのは素晴らしい。
フェドセーエフ、児童合唱が大人の合唱やオーケストラにかき消されないように、バランス作っていたね。さすがだね。