クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ハチャトゥリアン

先週N響ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」を聴いてから、エキゾチックな旋律が妙に耳にこびりついてしまった。
好きな作曲家の一人だが、如何せん生公演での観賞機会は乏しい。じゃあ日ごろから自宅等で愛聴しているかといえば、実はそうでもない。
ということで、この一週間、久しぶりに彼の音楽を徹底的に聞きまくった。どうせ耳にこびりつくのなら、脳みそ巣食うくらいにどっぷり浸かってやれってもんだ。
交響曲三曲、バレエ音楽ガヤネー(ガイーヌ)全曲、スパルタクス抜粋、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲。
 
いやあ、この作曲家、ほんっっっとに面白えわ。
特に、もう腹抱えて笑っちゃったのが、交響曲第3番。
なんつーか、アレだね。某国の国民が某最高指導者(独裁者)に向かい、強制されながら必死に「バンザーイ」とやっているアホらしさ。本人たちは「これぞ国民の結束の力」と誇っているのかもしれないが、見ていてあれほどイタく、そしておかしいものはない。
そんな真面目なダサさを音楽にすると、きっとこうなってしまうのではないかと思うのが、交響曲第3番だ。
 
ハチャトゥリアンは、この曲を作りながらいったい何を考えていたのだろうか。あの爆発的な「バンザーイ」は、当時の政治体制か?民族の叫びか?それとも自らの才能の自画自賛か?
 
ガヤネーやスパルタクスも、その弾けっぷりが素晴らしい。こんな音楽を作られたら、ダンサーは踊らずにはいられない。精根尽き果てるまで踊る。熱気、エネルギー、興奮、躍動。まさに血湧き肉躍る音楽だ。
 
なんて書いていると、まるでハチャトゥリアンは単なるパッパラパーな作曲家に思えるが、例えば交響曲第2番なんて、もっと普通にロシアンレパートリーに加えてほしいほどの名曲である。激烈なパンチがハチャトゥリアンの売りだが、実はしっとりとした旋律も美しく、情緒的で、心に染み入る。
 
私がCDで所有しているこの交響曲第2番は、作曲家自らが指揮しているが、オーケストラはなんと、天下のウィーン・フィル。あの保守的なウィーン・フィルが、この作曲家の魂を忠実に表現しているのが、なんとも素晴らしい。