指揮 ウラディーミル・フェドセーエフ
合唱 NHK東京児童合唱団
「フェド、円熟しちゃったなあ」
これが率直な感想。
「円熟したなあ」じゃなくて「しちゃったなあ」。
神々しさを湛えるようになった。音楽は、微笑みかけるかのように美しい。テンポが落ちてゆったりとし、幸福感に溢れ、何とも心地よかった。
反面、怒涛のようなうねりがすっかり影を潜め、柔らかくなった。
「しちゃったなあ」には、この言葉の中に若干の物足りなさが滲む。
・・と、ここまで感想を書いて、「ん?? 同じような感想を覚えた公演があるぞ!?」と思い出した。
自分のブログを検索すると、やっぱり出てきた。
その感想記事にこう書いてある。
『円熟したフェドセーエフの真骨頂。もちろん私は大いに満足したし、感動した。だというのに私は、一方で昔のフェドセーエフを懐かしんでいる。ちょっと粗いけど、強靭で、エキゾチックなロシアの艶と香り。峻厳なムラヴィンスキーとも、爆演のスヴェトラーノフとも一線を画す情熱と色気。ローカルな訛りと土俗性。時代が違うんだ。あの頃に戻ることは出来ないんだ。オケだってN響だし。』
そうか、やっぱり・・。
今回同じ感想をまたも抱いてしまったということは、やっぱりフェドさんはもう昔のフェドさんじゃなくなったんだ・・。
いや待てよ。
この際、申し訳ないけど、N響のせいにしちゃえ(笑)。